3種
ブラックチキン with 自家製レモンソルト
ポークビンダルー on the 梅しそバター
ホタルイカと春野菜の和風キーマ

京都という街は心落ち着かない。同じような見た目であるはずなのに、全くの異邦人であると感じる。
店に入ると大きな音でEXILEのライブ映像が流れている。店の人が何と言っているかよく聞き取れない。チャンダンの煙が濃く漂う。その中で23分間カレーを待っていて、恐れは少しの悲しみと少しの怒りに変わりだす。カレーがやってくる。
(くるりなら45分は待てただろう)

しかし、心の毛羽だちを簡単に凌駕するカレーだった。要素がとても多く、かつすぐに混ざるような配置で、分析的に食べることはぼくには無理だった。

ここは京都ですから。もちろんカレーは出汁なのだけど、もはや何の出汁なのかさえよく分からない。とにかくおいしい液体だった。トレンドのホールスパイスは散らしてあるものの、その他にとても良い香りのする赤唐辛子や小さいジャコが散らしてあった。
熟成したレモンソルトや、添えられたクリームも見事だった。豚肉の調理も考えうる限り最高のもので、肉は歯ごたえが残り、脂は口の中で溶けた。
ピンク色のポテトサラダも、なぜピンク色か分からないながら、酸味と甘みが拮抗するすばらしいものだった。
ホタルイカと苦味のある野菜のカレーは、春のものを使うという形、あるいは料理人の腕は表には出てこない。ただただおいしいカレーだった。
このカレーが何だったのか分からないままに食べ終えた。

とても良い香りのする唐辛子のふりかけは、それだけで売っていた。買った。結局はとても幸せだった。