※この記事は「カレーの学校」アドベントカレンダーに寄稿するために、以前投稿したものを書き直したものです。
カレーの学校9期生の松本と申します。
カレーの学校では「カレーのレシピを丸々1冊再現しよう」というゼミをやっていました。
メタ・バラッツさん著『バラッツ流!スパイスカレー』に掲載されている35種のカレーを全種類作ってみる、作ったらこのアメーバブログで報告する、という取り組みを学校卒業後も継続しています。
以前友人から「俺?カレーはスパイスからしか作ったことないわ」とカレーのマウンティングを受け、私だってスパイスからカレー作れるようになったるわいと発起したのがきっかけで、カレーの学校に入学しました。
カレーの学校では直接的にカレーの作り方を教わることはなかったけれど、自分でスパイスカレーを作るようになってから、水野さんの授業のお話がより身近に、より理解できるようになった(気がする)し、
今まで何も考えずに食べていたカレーを、スパイスやルーツや作り手のことなど、色々思いを馳せながら食べるようになったので「カレーの学校に行って脳みそが活性化されたなぁ」ととても嬉しく思っています。
さて、今回はカレーの学校のアウトプット in the world アイルランド・ダブリンでカレーを作ってみたよ!というお話です。
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今年の6月に長年勤めた旅行会社を退職し、7月にカレーの学校を卒業。7月末から1ヶ月掛けて念願のイギリス・アイルランド旅行に行ってきました。
ロンドンから入り、スコットランド、北アイルランド、アイルランドと3週間旅を続けてきたものの、貧乏旅行だからか、お国柄か、なかなか「美味しい
」と思うものに出会えずにいました。

旅行中は毎日バックパッカー用のユースホステルに泊まっていたのですが、ユースホステルには大抵こういう共有キッチンが付いています。
キッチンには以前の宿泊客が使わなくなった調味料やパスタが「TAKE FREE」と書かれた箱に置いてあることが多いのですが、ダブリンのホステルには何故か大量のスパイス達が。(通常はパスタ、塩胡椒、缶詰等が多い)
早速スーパーに買い出しです。ダブリンはアイルランドの首都。大都会のため、あちこちに大きなスーパーがあります。早速、玉ねぎとトマトを1個ずつゲット。
悩んだのは具材です。肉を食べたいけど、一番小さい肉でも400gは入ってる…。明朝、別の都市に移動する身だったので一晩では食べきれない量でした。結局割高ですが、100gほどのエビを購入しました。(3.5€=約420円)
あとは、いつも通り無糖ヨーグルトとココナッツミルク…と思ったのですが、こちらも500mlくらいずつ入ってるので、1度では使い切れません。
そこで見つけた、こんなもの。
よし!よく分かんないけど今日はこれをヨーグルトとココナッツミルクの代わりにしよう!と腹を決めました。
ちなみに、ホステルに戻ってからダブルクリームについて調べると、
日本のケーキ用の生クリームは、脂肪分45%以上らしいので、いわゆる日本の生クリームみたいなもののようですね。
さて、ホステルに帰ってきて早速料理を始めましたが、玉ねぎがうまく切れない…と思ったら、包丁の先があり得ない感じで曲がってます
誰かが包丁の先でムリヤリ缶を開けようとしたのでしょう…

ユースホステルのコンロは基本火力が弱い!
あまりにも火力が弱いので場所を変えたら…やばい、キツネ色を通り越してゴリラ色。
急いでトマトを入れて水分を飛ばし、塩とスパイスを投入しました。
スパイスの四天王は確かコリアンダー、チリ、クミン、ターメリックと授業で習ったはず。ミックススパイスにはクミンとターメリックも入っているから、きっと間違いないでしょう。
ここでじっくり水分飛ばして、その後ダブルクリームを投入…
とのんびりしていたら、イタリア人の男の子から「フライパンが1個しかないんだ。僕達もこの後パスタのソース作りに使いたいんだけど、あと何分掛かる?」とのお声が。
なんてこったい!コンロが8個に対してフライパン1個?そんなことある?!
海外での料理はホントに逆境の連続。
そこでふと思いました。
キャンプやイベント、キッチンライブなんかの、普段とは違う環境で美味しいカレーを作れる人達って、やっぱりすごいんだと。水野さんやリーダーやカレーの先輩達が、あらゆる場所で美味しいカレーを提供してくれることに頭が下がる思いでした。カレーに限らず、全ての料理人の皆さんに改めて感謝と尊敬
です。

「ooo...OK!あと15分以内に終わらせるね」と答え、予定より早めにダブルクリームを投入しました。
煮込んだらとても良い香り。一口味見して、思わず「おいしいっ」と声に出してしまったのですが、フライパンを待っていたイタリア少年が「今、O I SHI Iって言った?僕知ってる、日本語でしょ?」と反応してくれました。
「ベンおじさんのピラウライス」を添えて
カレー完成です★★★
肝心のカレーですが、フルーティでとっても美味しい。
ココナッツは入れていないのにココナッツカレーに味が似ているのは、ダブルクリームがコクと甘味をもたらしたからでしょうか。
甘口で濃厚、刺激が少なく上品な、私好みの味付けになりました
(辛党の人には物足りないと思いますが)アイルランドのエビもプリプリで美味〜。

久しぶりに美味しい食事ができて大・満・足
旅行前にカレーの学校に行けてよかったなぁ、としみじみ感じました。

ちなみにこのゲストハウス、キッチンが広いのは良かったのですが、隣に有名な音楽Barがあり深夜まで爆音が響き渡りまったく眠れませんでした
旅の宿選びはどうぞ慎重に。

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カレーの学校の知人友人に海外へ行っていたことを報告すると、まず間違いなく「で、その国にカレーはあったの?」と聞かれます。
今までの私の旅は「絶景を見に行く」が目的だったけれど、これからの旅はその国とカレーの関わりを調べたり、現地の材料を使ってカレーを作ってみたり、それをカレーの学校の友人に報告したり、旅を楽しむための要素に新たに「カレー」が加わりました。
それが私にとっての、カレーの学校の一番の成果だったなと今しみじみ感じています。