毎日飲んでる薬がきれたので、病院に行く。


3ヶ月に1回のペースで検査と診察をして処方してもらってる薬だ。



いつものように採血をする。


優しいお母さんみたいな看護師さんが、


「倒れない?」


「大丈夫?」


「気分は悪くない?」


いっぱいいっぱい心配してくれて、


無事採血が終わる。



私は自分の身体から今抜き取られた血を見ないように、ずっと目を逸らしてた。



元々血が得意じゃないっていうのもあるけど、


今の今まで自分の身体の中で巡っていた、自分が自分で作って自分を支えていたものが、自分の身体から飛び出して、他人の手にわたるということが、なんか、不思議な気持ちがしたのだ。



今の自分の生命を支えているものって、

血とか肉とか、そういう物理的なものもそうだけど、


生きる原動力


のようなものだと思う。


それは、これまで積み重ねてきた感情であり、考えであり、そういった信念が自分を突き動かすことで生まれる行動なのだ。


感情は血であり、行動は肉である。


それは誰の手にも渡すことができないし、


自分だけが作り出せるもの。


自分を支えるために。1人で立つために。




「あ、血ぃ見たら倒れちゃう?見えないようにあっち向いて作業するね」


聖母のような看護師さんをぼーっと見つめる。


「次は3ヶ月後ね。……1番暑い時期ねぇ。それまでずっとお元気でいてくださいね!」



あと3ヶ月頑張って生きよう。


今日採られた分の血はまた自分で作り直して。


感情が壊れたら、また自分で作り直していくのだ。


行動できなくなっても、自分の足で立ち直すしかないのだ。



自分のことは自分で、壊れたら修復して、取られても作り直して。


なんとか、なんとか繋いでいくのだ。