▼結論を言えば「ノイズ」が多く不満だった。映画「天気の子」を鑑賞したが、企業広告の多さに加え、不要な暴力表現&性描写があった。一方、単館上映の大ヒット映画「秒速5センチメートル」や興行収入250億円(歴代4位)「君の名は。」を生んだ新海誠監督(46)らしさは光った。

▼日清食品、softbank、風俗斡旋「バニラ」、マクドナルド、TOHOシネマズ、衣料品店「GU」、プリキュア(朝日放送テレビ)、サントリー等の企業が映画に登場。もちろん多くはスポンサー料を映画作成側に支払っている。主人公の帆高(高校生)が日清カップ麺をおいしそうに食べて「うまい」と連呼する。これは映画と言えるだろうか。

▼天気の子プロデューサーを務めた古澤佳寛氏は「リアルなものを描いているので作品性を損なわない。観客にとっても自然に受け止められる部分がある」と自己弁護する。確かにネットでは「現実観があっていい」という意見はあるが「露骨な企業広告は品を下げる」「壮大な企業広告とも受け取れた」と批判が多い。

▼正直に言えば作中の登場人物に共感ができなかった。「主人公たちの素性を描かなかったのが原因だと思います」(映画評論家)。帆高という少年がなぜ家出をしたかが描かれていなかった。個人的に言えば「君の名は。」登場人物と関連性を持たせる必要があったのかも疑問だ。わざわざ出演させることで、作品に深みが出たとは言いにくい。

▼6月の「君の名は。」の全国放送でCM前にサントリーやsoftbankの企業ロゴの形を入れ替えて(主人公が入れ替りに着想)SNSで話題になった。これは「(広告業界を牛耳る)電通から出てきたアイデア」と古澤氏は明言している。映画中も含め、広告ありきの収益モデルは否定しない。小ネタでSNSウケを意識、企業ネタで法人ウケを意識。だが肝心の視聴者への意識が置いてきぼりなった作品は、本末転倒だと言わざるをえない。