舞子Haaan! を見ていた
年始から市場が荒れており、原油価格の大幅な下落、中国経済の減速が浮き彫りになり、英国がEUに残留するかどうかという議論まで起きている始末だ。中国の政策当局は、必死に株価や人民元下落を抑制する策を取っているけれど、うまく機能としているとはいえないし、米国の景気浮揚も今一つで、日本の株価も不安定な動きを続けている。
こうしたことも大きな問題なわけだけど、それよりも個人的に問題なのは、外が寒すぎるということだ。あまりの寒さに出不精のぼくは、映画を借りてきて、明日も仕事だというのに、こんなブログを書いている。
さて今日は、「舞子Haaaaan!」を鑑賞したので、その感想でも書いていくことにする。その前に例のごとくあらすじを書いていくから、これから見ようとしている人は、ここで読むのをやめたほうがいい。
東京の食品会社に勤めるサラリーマンの鬼塚公彦は、熱狂的な舞妓ファンで、舞妓さんのHPも作成しているほどだ。公彦がなぜここまで舞子に魅せられたかと言えば、高校生の修学旅行で京都に訪れた際、迷子になった公彦を助けた舞子があまりに美しく、憧れを頂いたのが始まりである。この頃からお茶屋遊びを夢見てきた公彦であるが、ついに京都支社への転勤話があり、ついにお茶屋の体験ができることに。 公彦は、京都の女性だと思っていた恋人の富士子が、実は三重県出身だということを知り、一波乱ありながら、別れを告げて京都へ赴くことになる。
しかし夢見ていたお茶屋遊びは、「一見さんお断り」という慣習があり、その敷居を跨げない。ひょんなところから自分の勤める会社の社長がお茶屋に馴染みの客であることを知り、直談判するが、仕事で結果を残してからではないと駄目だと拒否される。
そこから公彦の異常なほどの努力が始まり、なんとか結果を残し、店に入ることができるのだ。しかし舞い上がったのも束の間、内藤というプロ野球選手が、お金にモノをいわせて豪遊しているのを見て、ライバル心が沸いてくる。そんなとき富士子は、「舞妓になって見返してやる!」とこっそり京都で舞妓修行を始める…。
公彦は、駒子という舞子に一目ぼれして、「旦那」という舞子や芸子の面倒をみる役回りを担いたいと思いはじめ、さらには、内藤に打ち勝つべく、サラリーマンからプロ野球選手になるため、社長の力も使って、新しいプロ野球球団をつくり、見事にプロ野球選手になってしまう。ついに内藤とのライバル対決が実現するかと思ったのもつかの間、内藤は映画俳優デビューを実現する。もはやお茶屋遊び、旦那という目標から、内藤に「負けた」と言わせることへと目標がシフトしていく。
その後、見事公彦は映画デビューを果たすものの、今度は内藤は格闘技にその主戦場を移し、公彦もそれを追いかけるようにプロレス界に向かう。ようやく追いついたかに思えたが、今度はラーメンの経営者に内藤がなっており、コロコロとその戦場が変わり、最後は、内藤とともに市長選挙に出馬することに。ようやく同じ場所で戦えることになったが、無残にも公彦は落選してしまう。
その後駒子と内藤が実は親子だということを知り、驚愕するが、京都の踊りの会に駒子が出席するとき、「おれも着物を買うから、おまえも着物をプレゼントしろ、それで駒子がおれの着物か、おまえの着物どちらを選ぶかで勝負しよう」と内藤に話を持ちかける。j念願の内藤との一騎打ちの最後の勝負となり、その会に二人で訪れる。そのときに駒子が身に着けていたものが、内藤のものだったことからがっくりと肩を落とした公彦であったが、自分のプレゼントした着物を着ていたのは、なんと別れた富士子だった。
この作品は純粋に面白かった。これは何がすごいと言えば、あらゆる舞台で二人が成功してしまうという、努力さえすれば、夢が叶うという非常にポジティブな面があるからだろう。そもそも普通であれば、会社で成功できずに京都支社でお茶屋もいけずに終わりそうなところを、プロ野球選手になり、役者になり、プロレス界で活躍し、市長選への出馬まで実現させてしまう。パロディー風に描いてはいるが、気持ちのいいほどさわやかに成功していくのが見ていて晴れやだ。
そして何より美しいのは、富士子が公彦の馬鹿で真っ直ぐなところをよく理解しているということだ。無我夢中で走っている公彦は気づかなかったが、別れてみて、時間を置いてから、富士子の良さを理解しはじめる。男にはよくありがちだが、近くにいた女性の良さがわからずに遠い誰かを追いかけることがあるかもしれない。そしてそばにいなくなったときにはじめて、その良さがわかりはじめる。しかしそれを知ったときは、もう手遅れになっている。現実ではそうだが、このお話しでは、おそらくその後もよりを戻す可能性が高い。
公彦と富士子が京都を舞台にして、心身ともに成長していくさまに温かい気持ちになった。とこうやって振り返ってみたが、明日は必至に今の仕事をこなしていかねばならないし、どうやら雪も降るらしい。公彦の才能が羨ましいよ、やれやれ。