こんばんは。
あっと言う間に年の瀬ですね。
当ブログも今回が今年最後の更新となりそうです。
今年も1年色々ありました・・・。
なぁんてのんびり振り返っている暇はありません!
テックセンターはただ今ラストスパートまっただ中!
もしかしたら今年で一番忙しいかも(^_^;)
すでに年明けのご入庫のご予約も少しずつ埋まり始め
スタッフ全員駆け回っております。
年内の営業日もあと少しですが
気合を入れて頑張ります!
さて、今日ご紹介するのは
ポルシェ 911 996 カレラ4S のハブベアリング交換です。
当初のご依頼は、走行中に足廻りから異音がするとのことで
点検の為ご来店頂き、テスト走行を行いリフトアップして各部の点検を行ったところ
ハブベアリングにガタが見られた為、そのままお預かりさせて頂きました。
今回、音の発生する根本の原因となっていたのはハブベアリングでしたが
音そのものは、ハブベアリングのガタによりABSのホイールスピードセンサーの先端が
ドライブシャフトの一部と接触して発生していた為
同時にセンサーも交換させて頂くこととなりました。
まずはハブの脱着から。
キャリパーとローターを外しショックアブソーバーとの接続も外していきます。
この車両は4Sなので、センターナットを外しドライブシャフトも抜きます。
そして外れたハブキャリヤ(ナックル)がコレ。
見た目では分かりづらいですが結構重いんです。
そしてさらにここからフランジを抜いてベアリングを外して行きます。
ベアリングは圧入されているので、プレス機で取り外し
組み込む時もプレス機を使用します。
ポイントはハブを充分に暖めること。
特にこの季節は部品自体もかなり冷たく締まっていて
ベアリングが非常に抜けづらいのです。
組みつけの様子です。
新品のベアリングを入れる前にハブキャリヤを充分に暖め
真っ直ぐ慎重に圧入していきます。
この時、斜めに力をかけるとベアリングを傷めてしまうこともあるので要注意です。
もちろん左右セットで交換していきます。
コレは取り外したベアリング。
本来は一体ものなので、このようにアウターレースとインナーレースが分離して
中のボールが取り出せるようにはなっていないのですが
ガタが出たことにより回転中に衝撃が加わり
ハブキャリヤから外すとこのように分離してしまいました。
こちらは交換したABSのホイールスピードセンサー。
上が新品のセンサーで下が取り外した部品です。
写真では分かりにくいですが(取り方が悪くてスイマセン)
外したセンサーの先端は削れてしまっていて
ABSのフォルトメモリーも入っていました。
一通り部品交換を終えたら、フォルトメモリーを消去して
テスト走行を行い修理完了。
ハブベアリングの交換後は見違えるように静かになりました。
今回修理を行った4Sやターボモデルは
荷重の大きいリヤよりもフロントのハブベアリングの方が
先に交換時期が来る傾向にあるようです。
ポルシェに限った話ではありませんが
4WD車のフロントは、駆動輪であると同時に操舵輪でもある為
車体の荷重がかかる方向に加えて、さらにステアリングの切れ角に応じても
あらゆる角度から力が掛ります。
そこにサスペンションの上下動が加わると力のかかる方向はさらに複雑になります。
その為、どうしてもフロント側の負担が大きくなり
911のようにフロント荷重の方が軽い車であっても
フロントハブベアリングの交換時期が先に来てしまうのです。
こういった車の特性に応じた不具合などは
乗り方や日常のメンテナンスで予防することは難しいのですが
対処を早めに行うことで周辺への影響を最小限に抑えることはできます。
人と同じで早期発見、早期治療が一番重要ってことです。
もし、運転中に普段と違う異常を感じたらすぐに専門の工場にご相談下さい。
早めの対処がコストを抑えるコツですよ!
それでは。
byサービスフロント鈴木