こんばんは。
今回は、この時期に多いエアコン修理のなかで
ポルシェ 964 カレラ2 の事例をご紹介しようと思います。
入庫時、エアコンは全く効かない状態でした。
というわけでエンジンフードを開けてみると
エアコンベルトが切れて外れてしまっています。
ベルトが切れてしまう要因としては
ベルト自体の劣化が極度に進んだ場合や
ベルトが掛かるプーリーの異常などが挙げられますが
切れたベルトを見ると一部が硬くなり崩れるように切れています。
どうやらかなりの熱が加わって焼き切れたようです。
コンプレッサーのプーリー側にも
高熱の影響が見られます。
察しのいい方はもうお分かりだと思いますが
マグネットクラッチが焼き付いている状態です。
エアコンのコンプレッサーというのは常に回転しているわけではなく
コントローラーからの要求に対し
一定の冷媒圧力を維持するためにONとOFFを繰り返しています。
そのON/OFFをしているのがマグネットクラッチです。
プーリーはベルトにより常に駆動されていて
マグネットクラッチがONになると駆動力がコンプレッサーに伝わり
冷媒の圧縮を行うわけです。
そしてもう一つの重要なパーツであるプレッシャースイッチからの信号をうけて
冷媒圧力の上昇に応じてクラッチがOFFになります。
今回はそのマグネットクラッチが焼き付いてしまった為
回転抵抗が過大になり、ベルトが駆動しきれずに
滑って焼き切れてしまったということです。
外したマグネットクラッチを見ると
やはり擦れた痕やベアリングの損傷などが見られます。
基本的に一般の消耗部品というわけではないので
目安となる交換サイクルや交換時期のサインなどが
明確にある訳ではありませんが
他の部位でエアコン修理を行う場合でも
チェックはしておきたいところですね。
今回はコンプレッサー本体の異常は見られなかったので
マグネットクラッチのみの交換となります。
一口にエアコン修理といってもその内容や不具合の出方は様々。
一番オーソドックスなのがガス漏れですよね。
他にはコンプレッサーの圧縮不良や
冷媒ラインの詰まりなんてのもあります。
センサー系の異常でエアコンが効かなくなることもありますね。
エアコンのシステムは意外と(?)繊細にできているので
ちょっとした圧力の変化で動作に影響が出ることもあります。
ガス量の調整や圧力の良否判断などシビアな部分も多く
過去には、エアコンガスの入れすぎや種類を間違えたことによって
2次的な故障を招いたケースもあるので
おかしいな、と思ったら必ず専門の工場で診断を受けるようにしましょう。
快適な愛車で快適な夏のドライブを!
それではまた来週。
byサービスフロント鈴木




