こちらの夏休みは6月からスタートし二か月半もあるのですが、早いもので娘たちの学校は来週から新学期が始まります。

春休みに日本へ帰ったので、夏休みは特に大きな旅行はせずサンディエゴの従兄弟の所へ行ったり、サンタクルーズのサッカーキャンプへ行ったりと、州内で過ごしました。

今の仕事に就いて早くも8か月目。新たに院内ホスピスのトレーニングを受けることになり、先週からスタートしました。在宅訪問のホスピスとは全くペースが異なり、ある意味新鮮な経験をさせて頂いています。昨日もトレーニングで病院勤務だったのですが、既に在宅介護の患者さんとアポを入れていたので午後は在宅訪問の仕事に。新規の患者さん、お二人のアセスメントのアポだったのですが、お二人目の患者さんが偶然の持ち主でいらっしゃいました。

マークさん（72歳、仮名）は股関節置換術を受けられ、術後のケアの為在宅介護に紹介されていらっしゃいました。手術は予定通り上手く行き、麻酔から覚めたところで奥様に連絡を入れたのですが、奥様は電話に出ず、マークさんはそのまま眠りに就かれたそう。朝一番で奥様に電話を掛けたのですが、またも電話に出ず。”僕の事、怒ってるのかも”、と思い、午後まで待って再度挑戦するも、奥様は電話に出ず、流石にマークさんも心配になり、ご近所さん（この方は私の恩人であり、大尊敬する緩和ケアの医師なのです。）に連絡を入れ、家にいって様子を見てほしい、と依頼したそう。ご近所さんが訪ねてみると、奥様は床に倒れておられ意識不明の状態だったそうです。脳動脈瘤を起こされた様で、私の勤務する病院へ緊急搬送されました。発見された時にはすでに症状発生から18-20時間ほど経っていたと想像され、入院から既に2週間たった昨日でも意識が回復する可能性は極めて低いと診断されたようです。

マークさんにアポを取るために電話を入れた際に、前述の成り行きを語ってくださったのですが、偶々私が病院にいた為、マークさんのお宅へお邪魔する前にICUにいらっしゃる奥様の様子を伺ってきてほしい、と依頼され、ICUまで奥様に会いに行くことに。奥様は生まれも育ちも東京の日本の方で、アメリカの大学院留学中にマークさんと知り合い、ご結婚されたそうです。奥様は薬による鎮静下で穏やかな様子でいらっしゃいました。耳元で日本語で自己紹介をし、ご主人に会いにいくことを伝えると、瞼がかすかに動いたように見えました。

病院を後に、マークさんのお宅へ。マークさんは堰を切ったように奥様の事、お二人の結婚生活などを話し始め、時には涙を流しながらの約一時間半の訪問となりました。前述のご近所さんのお医者さんから、”普通の生活に戻れる可能性はまずない”、と言われ、どうしたらよいのかと尋ねられました。私の立場では何とも申し上げることは出来ません、とお答えしましたが、マークさんは心の中ではご自身なりの既に答えを見出していたようです。

長くなるので続きます。

偶然が重なりすぎで身動きが取れなくなりました