貴方といる何気ない時間が

私を無条件でしあわせにしてくれている


ねぇ、チャンミン




その男、チェガンにつき。
~Book of days~




今日は珍しく二人とも休みが重なった平日で

そんな貴重なタイミングなんてそうなかなか無いからと


あーせっかくだからヌナとどこか出掛けたいな、って

チャンミンからのお願いもあって、どこに行こうか思案中



「「あっ!!」」



お互いに声が重なって

思いついた先も一緒だった











時間的に通勤ラッシュも落ち着いている頃合い

ワタシとしてはハタに気付かれないか心配しているのに


ダイジョウブ

その自信はどこからくるのか


当の本人はダテ眼鏡とニットキャップでなんとかなると思っている


はっきり言って、がらんとした電車の中でも

貴方のオーラはダダ漏れです



「ん?僕の顔になにかついてる?」

「いや、別に・・」

「じゃあ見とれてた?」



あながち嘘では無い


最近では前より堂々と外に出るようにはなった

それでもどうしても人の目が気になる時はあるのだ


どう考えても明らかに高身長で、スタイルお化けな整った顔の大スターが

こんな時間に電車で遭遇したら誰だってビックリすると思うよ


でも、ワタシの存在を公言したときから

コソコソとするのはやめましょうって言ったのもチャンミンの方だった



「ねぇチャンミン」

「ん?」

「ちょっとひと駅まえで降りて歩こうか」



隣に座ってるのに離してくれない指をきゅっと絡めて

いいですよ、と貴方は言った











「普段も行ったりするの?」

「あー、日本ではあまり行かないけど、韓国ではよく行きますよ」

「確かにいつも難しそうな本読んでるもんね」

「ヌナは?」

「私はね、本ってよりは文房具が好きでつい寄っちゃうんだよね」

「で、無駄遣いする、と」

「わかってんじゃん」

「褒めてるわけではないですよ」

「ついつい書きやすいペンとか見つけちゃうと買っちゃうんだよねぇ」

「で、使ってないものが増える、と」

「・・・はい」



ぐうの音も出ない



「でも気持ちはわかりますよ?」

「ほんと?」

「僕の場合はレゴかな」

「チャンミンさ、本当に好きだよね、レゴ」

「あのずーーーーっと集中して作る感じが好きなんです」

「ワタシにはさっぱりだな・・」

「いいですよ、集中力身につくから」



集中力かぁ、と呟くと

繋いでいる手を自分のコートのポケットの中にしまわれた



「なっ、どうしたのよ」

「寒いからしまっただけです」

「もう急にそういうナムジャ感出さなくていいから」

「うれしいくせに」

「そりゃあ、嬉しいけどさ」

「じゃ、このままでいきましょう」



春ももうすぐ、という季節のわりに

今日は何だか吹きすさぶ風が冷たくて


だけど手を繋ぐだけで

こんなに温かくなるなんて


久しぶりすぎて

でもちょっと、くすぐったい











我が城から少し離れた

比較的大手の本屋さん


それぞれ好きなものが違うし

時間を決めて各々物色しようって話になった


ワタシは相も変わらず好きなマンガコーナーへ一直線

チャンミンはどうやらビジネス新書の方へ向かったみたい


なんだこの違い


お目当てのものはすでに持っていて

特に気になる新刊は見つからなくて


いそいそと文房具コーナーへ向かう途中

彼がどこへ行ったのか気になった


すごいなぁ

まだ真剣な顔でワタシが立ち寄らなそうな本を物色してる



もはや人間として違いすぎて尊敬しかない・・



少し距離を取ったところから見ていたワタシの視線に気付いたのか

何冊か欲しいものを抱えたチャンミンがこちらに向かってくる



「ヌナ、いいもの見つかりました?」

「特に無かったから、文房具の方に向かおうと思ってた」

「だってまだ読んでないの積んでるでしょ」

「そこまでバレてたか・・」

「僕にはお見通しですよ?」

「すみません~」

「日本語で積ん読って言うんですよね?」



そんな日本語までご存じなのか

さすがチェガン様


「誰のせいでその積ん読になってると思ってるの・・」

「ん?僕のせい?」



今隣で愛嬌見せてるどこぞの誰かさんが

そんなの見ないで?なんて言われたら


相変わらずジ・エンドな日々なのです



「ねぇ、そこに併設してるカフェでテイクアウトでもする?」

「いいですね、僕買ってきますよ」

「いいよいいよここはワタ・・」



スッと長い指がワタシの口元にやってきて

慈愛に満ちた眼差しで微笑まれる



「ヌナはいい子で待っててください」

「・・子どもじゃないんだから」











「甘いのと、ビターなのと、両方買ってきました」

「チャンミン出来る子すぎない?」

「ヌナ、どっちがいい?」



選ばせてくれるところまで

ジェントルマンすぎて



「じゃあ今日は、甘い方もらおうかな」

「いつもでしょ?」

「ワタシだってたまにはビターなの飲みたい時くらいあるんです~」

「それも知ってます」

「チャンミン、何でもお見通しすぎない?」



少し前を歩いていたチャンミンが立ち止まる

振り返って今更何を言うか、って顔をした後


ジリジリと

近付いてくるその顔が


唇に触れる寸前のところで止まって



「僕を誰だと?」



あまりにも吃驚した表情のワタシを見て

小悪魔みたいにニヤリとしている



「もうっ、こんなところでっ」

「ん?キスでもされると思った?」

「そんなこ・・」



結局やってきた

小鳥みたいな優しい口づけ



「ヌナ、顔真っ赤」

「・・誰がそうさせたのよもう」



僕ですね、って

なによそれ



嗚呼もう

悔しいけれど


どんなに年を重ねても

貴方には本当にドキドキさせられる



「ヌナ」

「ん?」

「今のうち謝っておきます」

「え、なに、どうした?」

「真っ赤なヌナ見たら・・早く帰ってくっつきたい気分になりました」

「はっ?」

「帰ってイチャイチャしましょ?」

「・・パボ!」


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\ファー!!!!!!!!!!/

(自分でカタカタしといて甘すぎる…ラテより甘い…)

 

ここにあげるの何年ぶりだ…

(ログインできないかと思ったw)

 

SMT(こちらは配信)と生SHINeeの力で

もうそれはもう久方ぶりにカタカタしたくて出てきました。

 

先日、書き手もやっていたお友達に会った時に

ちょうどこの話になったんですよ。

 

黒歴史の部分も大いにあるけど、大切な時間だったなぁって。

 

 

はぁ、カタカタしてちょっとスッキリした!

 

あの頃の読者様、皆様お元気でしょうか。

皆様のおかげでたくさん愛していただいた気がします。

 

私を支えてくれる敏腕編集者たちに愛を込めて。笑

 

最後に…

もうカタカタできないかと思ったけど

 

やればできるじゃん、俺。

 

 

2024.03.01 かぐら