翌日。

僕ら三人は放課後、校庭に集まった。


ぼくが「お見舞いって手ぶらで行っていいものなのかな?」と言うとレイが、


「そこはいいんじゃない?初めてなんだし。」


「でもさ、ホントに実際行ってもいいのかな?非常識って怒られたりしないかな?」


「大丈夫!私に任せなさい!」


どこからそんな自信が来るのか解らないが、レイは胸をドン!と叩いて見せた。


こんな時、本当にアキラは何も発言しない。

何かを決める時は決まってぼくとレイだ。


「よし!じゃあ行ってみようか?ドキドキするね」


ぼくはアキラとレイの背中を押した。


校庭を横切り大きな国道を渡れば病院はすぐだ。歩いて5、6分の距離にある。街で一番大きな総合病院だ。


国道を渡った僕らは真っ直ぐ病院の入り口に向かった。


「たぶん、あの窓だから・・・三階だね。」

レイが三階の窓を指差す。


「よし!ここまで来たんだ。思いきって行っちゃおう!」


「何だよ。まだ思いきってなかったのかよ?」


アキラが笑いながら言う。


ぼくは内心、やっぱり不安だった。突然押し掛けて大丈夫なのか?と。それでもレイを信じる事にした!と言うのが本当の所かも知れない。


ぼくは先頭を歩き病院の入り口に入り、そのまま階段で三階を目指す。


階段を昇りながらアキラが、


「ホントドキドキしてきた。身も知らず人間が突然現れてとりあえずビックリだよな?」そんな事を言いながら心臓の辺りを押さえている。


誰もが、そうだろうけど、知らない人のお見舞いなんて行った事が無い。どんな顔して病室に入ればいいんだろう?何て考えていると三階に着いた。


「えっと~・・・あっちの方向って事は・・・」レイは廊下左右をキョロキョロしている。


ぼくとアキラはそっちの方向に歩き、病室の中を一部屋、一部屋覗いて行った。


310号室。チラッと覗いた時。


「居た!間違いない。あの子だよ。」


アキラはぼくの顔を見た。


ぼくも部屋の中を覗き込み、


「うん。そうだ。きっとあの子だ!」


ぼくらは顔を見合せ、コクリと頷いた。

遂に来てしまった。三人ともそんな気持ちだったと思う。多少の不安感も否めない。


どうする?どうする?とモタモタしていると、流石レイ。度胸が座っていると言うのか、スタスタと部屋の中へと進んで行った。


「マジか!」ぼくとアキラも後に続いた。


中には、母親らしき女性とベッドには小さな女の子が居た。


二人とも「何?誰?」と言う顔でぼくらの顔を見ていた。


そしてこの後ぼくらは辛いとしか言えない話を聞いてしまった。




                                                     (つづく)






 

 

 

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