全く家事のできない女だった。
できないというか、
したくない、
興味がない、
キッチンとかいばしょじゃない。
米は炊けない、
リンゴの皮すら剥かない。
ごくごく、ごくごくたまーに、
食器洗いを手伝うぐらい。
数ヶ月に一度の頻度で。
短大生になり、親元離れたて住みだした。
毎日パン屋で、
生クリームたっぷりのパンを
あきずに食べた。
さすが、家事のできない女である!
あるとき、実家からリンゴが届いた。
久方ぶりに、
何年ぶりに、
リンゴの皮を剥いたんだろうか。
これが、意外に、
うまい具合スルスル剥けて、
気持ちいいぐらい剥けて、
家事のできる女と錯覚すら覚える。
で、リンゴの中心は、
なぜか黄色になっていた。
黄色の線が入っていた。
これは腐ってるのか。
食べたらお腹壊すかも。
その箇所を果物ナイフで削ぎ取り、
残りのリンゴを皿にもりつけ、カプカプ食べた。
うん、美味しい。
それから数年後、実家に帰省したさい、
リンゴがでてきた。
母は、
蜜入りの甘いリンゴで美味しい と。
リンゴをフォークで刺し、
目の前でマジマジと見たら、
あの黄色、いや、黄金色の線が。
しまった、
今まで捨てていたものは 蜜 だったのかと、気付いてしまった。
一番甘くて、一番美味しい、
黄金色したあの蜜を、
家事をしない できない女は、
何も知らないから捨てていたのだ。
家事のできない女は、
その後、
やっぱり家事に興味がないものの、
子どものためにバランスを考えた食事を
作れるようになった。
1日のうちでもっとも嫌いな時間ではあるが、
毎日といかないものの、食育を考えている。
夕飯の後テーブルの上にのる果物は、
リンゴ。
中心にある黄色の線は残したまま、
蜜入りで美味しいよって、
言っている。
リンゴの味は、蜜の味。
中心にある黄色の線は、
絶対に捨てちゃダメだよ。