ドリーム・スイート「おかえり。」
ペチャランチョ「ドリちゃん…?スーちゃん…?」
ペチャランチョは驚いたあまりその場から一歩も動けやしませんでした。
ドリーム「ママ?」
スイート「どうかなさいましたか?」
ペチャランチョ「あなた達は山から姿を消したわよね。おふとん山から家まで徒歩で3時間で帰れるはずがない。」
ドリーム「…その話はやめよう。」
スイート「私もその方が良いかと。」
ペチャランチョ「でも…本当に消えた。一人で車で帰ってきた…。」
ドリーム「…ママ、疲れてるんじゃない?」
スイート「今日はもう休むのを推奨します。」
ペチャランチョ「…そうだね。頭を冷ましてくるよ。」
ペチャランチョは一人自室へ向かい、毛布の中にくるまりました。
ペチャランチョ「寝れない。」
ペチャランチョは寝付けそうにもありませんでした。なぜあの二匹が突然姿を消したのか、その二匹がなぜ何事もなかったかの様に目の前に現れたのか。彼女にはとても解明できるほどの問題ではありませんでした。
ペチャランチョ「目だけでも閉じてみるか。」
目を閉じて20分後。ペチャランチョはいつの間にか眠りに落ちていました。やがて夢を見始めました。
おふとん山の夢。山道。夕焼け。二匹と見た景色です。そして…誰もいない山頂。
すると突然破裂音の様な音が二つ続けて聞こえました。
ペチャランチョ「何事だ!?」
ペチャランチョは慌てて目を覚ましました。そのままの勢いでドリームとスイートの部屋を見に行きました。が、二匹は半透明のまますやすや寝ていてとても暴れた形跡もありませんでした。
ペチャランチョ「あれ…なんで起きたんだろう。」
疑問を抱えたままペチャランチョは再び眠りにつきました。
それから30分ほど立った頃でしょうか。
僕「……。」
ペチャランチョ「…また話しかけてる。何?」
僕「…いや、単に会いにきただけ。」
ペチャランチョ「どうして今まで黙っていたの?」
僕「……。」
ペチャランチョ「私が忘れていたから?」
僕「…そう。」
ペチャランチョ「何を…?」
僕「君が忘れたかったこと。あの二匹は君の夢だ。君が望んだものだった。」
ペチャランチョ「夢…?」
僕「君が昔失ったものを取り戻す為に創り出した夢。でも。…夢はいつか終わりが来る。明日ー」
ペチャランチョ「あなた!?」
部屋には静寂が戻っていました。ペチャランチョしかいない部屋。心なしか空気も澱んで見えます。
ペチャランチョ「…もう何も失いたくないよ。」
静かに涙を一粒流し、ペチャランチョは再び目を瞑りました。手を腹の上に重ねて。
ドリームとスイートは隣の部屋で寝ていました。