もう少しで年明け。早いものです。


何というか、後悔と別れに満ちた一年だったなぁ・・・。



デアゴスティーニ 刑事コロンボ新シリーズ 16 「死者のギャンブル」




<あらすじ>


犯人は、 ギャンブラー ハロルド・マッケイン



ギャンブルにより、多額の借金を背負ったハロルドは、フットボールチーム・オーナーである叔父ビッグ・フレッドを頼った。


しかし、フレッドは度重なるハロルドの悪癖に激怒。これを拒絶。

その妻ドロレスからも援助を断られたハロルドは、叔父の遺産を狙って殺害する計画を立てる。


夜、ハロルドは叔父の屋敷の庭に侵入し、叔父の愛車に手製の爆弾を仕掛ける

エンジンをかけた瞬間、爆発する仕組みだった。



しかしその翌朝、ビッグ・フレッドはジョギング中にひき逃げされ、死亡する。


現場検証や捜査で警官が屋敷に出入りするため、ハロルドは車から爆弾を回収できない。



そして車の鍵を預かっていた庭師フェルナンドが、車庫に移動させようとエンジンをかけた瞬間、

ハロルドや、車は捜査に赴いていたコロンボ警部たちの目の前で爆発


フェルナンドは死亡した



爆破はビッグ・フレッドを狙ったものだと断定され、

さらにコロンボ警部は現場に残った痕跡から、爆弾を仕掛けたのはハロルドであると確信した。



その一方、遺産が大して手に入らず、金貸しからも最後通告を受け絶体絶命のハロルドは、

実は愛人関係にあったビッグ・フレッドの妻ドロレスに援助を得ようと画策したのだが・・・




<関心どころ>


・トリッキーな展開、再び その1



今回の事件は、狙った人物以外の人間を殺害してしまうという実に掟破りなものである。


爆死してしまう庭師フェルナンドは、本当にただの不運で死んでしまうため、救いのないものになっている。


また、爆弾を回収できず、動機のないフェルナンドが車を動かそうとするのを立場的に止めることができないハロルドの動揺も秀逸だった。


この展開は、旧シリーズにない新たな試みである。




・トリッキーな展開、再び その2



更に、今回はビッグ・フレッドのひき逃げ事件フェルナンドの爆死事件と2つの事件が絡み合う。


それにより、犯人ハロルドの立ち位置も大きく変わっていくのであるが、

物語が進むにつれて意外な展開を見せることになる。



ただし、この展開は、旧シリーズエピソード37 「さらば提督」でも見られるものだ。




<ツッコミどころ>



・対決感の希薄



ただのギャンブル狂でしかないハロルドは、決して知能犯ではない。

そのため、コロンボ警部の追求に対しても対応しきれていない。


しかも、最後にはああいう末路を辿る。(ネタバレ回避)


なので見どころは、実に少ない。




・品のない人物たち



ハロルドもそうであるが、ビッグ・フレッドの妻にしてハロルドの愛人であるドロレスも酒浸りな姿ばかりが描かれ、品位に欠ける。


そのドロレスが今回のキーパーソンであるが、ハロルド同様、見ていて共感できる要素はない。




・やはりやりすぎだった



狙った人物以外が死亡するという展開は、コロンボシリーズにおいてもこれのみである。


しかし、これもまた作品の品位を落とす要因であり、残念な部分である。




・あっさりしすぎる解決



犯人逮捕がスラスラーっと終わってしまうのも今作の特徴。


短い間隔でそれが進み、その物証も納得するには不十分なものであるため、

見終わってからのスッキリ感に欠けてしまう。




<セミプロ役者の余談>



・吹き替えメモ


ハロルドを演じたのはグレッグ・エヴィガン



その吹き替えには、前にあったエピソード「殺人講義」で犯人の一人ジャスティンを担当した大塚明夫さんが再登板している。



そして、もうひとりのキーパーソンであるドロレスを演じたのがタイン・デイリー


その吹き替えは、同じく前にあったエピソード「かみさんよ、やすらかに」の犯人ヴィヴィアンを担当した弥永和子さんが再登板。



ちなみに、出番は少ないがハロルドに脅しをかける金貸しハッカーを吹き替えたのはあの

若本規夫さん、かなりドスが効いてます。




・名女優タイン・デイリー



今回目立ったのはハロルドよりもドロレスであると言っていい。


そのドロレスを演じたタイン・デイリーは、今作でこそ色気はありつつ少し太り気味な姿を見せているが、

若き日は、刑事ドラマ「女刑事ギャグニー&レイシー」レイシー刑事を務めていたり、魅力あふれる刑事姿を披露。


テレビドラマ界のアカデミー賞と言われるエミー賞主演賞を4度受賞している。

(このドラマは日本でもシリーズ放映されているそうだ)


今作のドロレス役ではそれとは打って変わった姿を見せているが、その演技はとても印象的だ。



そんなタイン・デイリーはこんなことを語ったという。


それは、ピーター・フォーク1961年、とあるトラック運転手に扮したドラマ作品、

「トマトの値段」エミー賞主演男優賞を受賞した作品に関して語ったもので、デイリーはこうコメントした。


「一見融通が利かないようで実は心優しいトラック運転手役のフォークに魅了され、私は女優を志した」



実に興味深いエピソードである。



<総合評価>


トリッキーな展開にこだわった結果、上質さと品位、魅力に欠けた作品。


5.5