コロンボ作品の中でも、最も見たかった作品がようやく登場しました。


最も見たかったというその理由は後述。



デアゴスティーニ 刑事コロンボ新シリーズ 17 恋におちたコロンボ」



<あらすじ>


犯人は、 資産家 ローレン・ステイトン



その晩は、ローレンの屋敷でパーティーが開催されていた。


50歳を過ぎてなお、衰えることなく美しさを保つ彼女が、若き恋人にプロポーズをされた。

客たちはそれを大いに讃えた。



そこにその恋人、ギャンブラーのニックがやってきた。

ローレンに対して結婚したいという旨を伝えるも、その後すぐに「ポーカーの勝負がある」と出て行った。


それを見送ったローレンは、ある人物に電話をかける



一方、パーティー会場を出たニックは、あるバーでリサという若い女と逢っていた。

そしてニックが席を外した隙に、リサは店内の電話ボックスである人物に電話をかける


実はその相手はローレンであり、二人はある計画を確認し合った。



やがて、ニックはリサを連れて自宅アパートへ戻る。


そこでニックは待ち構えていた女に射殺された。



拳銃でニックを撃ったのはローレン

頭が痛いから自室で休む、と自室に戻ったあとで密かに会場を抜け、ここまで忍び込んでいたのだった。


ローレンはリサに指示を与えて現場に残し、自身は自宅へ戻った。



深夜、パーティーは閉会すると、ローレンは再びニックの家へ向かう


管理人に、「ニックの部屋に入りたいが、合鍵を忘れてしまったので入れてもらいたい」と告げ、一緒にニックの部屋に向かう。


すると残っていたリサが銃声を聞かせ、そして死体の死亡推定時刻を錯覚させるために使った電気毛布を回収して窓口から逃走した。



そして、鍵を開けたローレンと管理人がニックの死体を発見する


ローレンのアリバイは成立し、リサの素性も誰にも知られていない。



警察は、宝石が持ち去られていたことから強盗殺人と考えたが、

コロンボ警部は現場の状況から、これが強盗の仕業ではないと睨む。



更に、警部は第一発見者であるローレンに接触するが、

ローレンは自分を疑っている警部に擦り寄ってデートに誘う。


警部を誘惑し、捜査の手を緩め疑いをそらそうとする。




<関心どころ>


・脚本、ピーター・フォーク



今作の脚本は、主演のピーター・フォークが自ら書き上げた唯一のエピソードである。


それもあってか、旧シリーズの流用シーンが存在している。



殺害後に共犯者が現場に残ったしばらく後に、銃声を第三者に聞かせたり、

更に電気毛布を使うアリバイトリックは、

旧シリーズのエピソード 「二枚のドガの絵」


ローレンがコロンボ警部にネクタイをプレゼントし、仕立てる件は、

エピソード14 「偶像のレクイエム」


でも見られるシーンである。


ピーター・フォークがさりげなく採用した遊び心と、シリーズへの愛情と見受けられる。




・警部を誘惑する、美しき殺人者



何よりもユニークなのが、疑いをそらすべく警部を誘惑しデートに誘うという展開。

そして警部も相手の思惑を見破りつつ、これに頭を抱えるようになる。



ただ、これは誘惑する側に相当な魅力的要素がなくては成立しない。


ローレン役のフェイ・ダナウェイは当時52歳であるが、その年齢を感じさせない美しさと魅力ある演技、また秀逸な演技を披露し、

この作品で見事エミー賞を受賞している。


また、フェイ・ダナウェイは、映画部門においてもかつてアカデミー賞を受賞している世界的スターでもある。


この彼女との共演はピーター・フォークにとっても相当思い出深いらしく、自伝の中にも彼女の名前が出ている。


脚本を手がけた理由には、フェイ・ダナウェイと共演したかったこともあったに違いない。




・共感路線



終盤になるにつれて、殺人の真の動機がわかってくるというのも今回の特徴。


その動機には警部も理解を示し、またローレンに対する哀れみも見せている等、

ミステリー要素の中にもドラマ要素が盛り込まれている。



そして、最後にはしっかりとカミさんへの愛情も見せており、

ドラマ的に綺麗な終わり方となっている。




<ツッコミどころ>



・いつ、疑った?



警部がいつ、どこで犯人はローレンだと断定したのか?


それがよくわからなかった。



伏線を張っておき、それが最後に明かされるといったようなフォローもなかったため、そこが実に惜しい部分である。



・通話記録の謎



少々ネタバレになるが、共犯のリサがニックと関係があったことは、ふたりの通話記録から明らかになる。


ローレンとリサは、ふたりの共犯関係が漏れないよう、通話は公衆電話から行っていたが、

パーティー中の数回の電話は、公衆電話が使えないため、ローレンは自宅電話からかけていた。


だとすると、ローレンの通話記録を調べていないことが不可解だ。


これを最初に調べれば、ローレンとリサに関係があったことが早々に証明できたというのに・・・



そこへの説明がないので、ミステリー的にやや理不尽さが出てしまったように思える。




<セミプロ役者の余談>



・吹き替えメモ



フェイ・ダナウェイ扮する犯人ローレン・ステイトン役吹き替えは、高畑淳子さん


数々のドラマ作品への出演を始め、バラエティ番組へも出演する、

好きな女優さんは?と聞かれて真っ先に名前が思い浮かぶお方である。


正直、吹き替えのイメージがあまりなかった方なので、非常に楽しみな一作だった。


驚く程自然な吹き替えに大感激でした。



被害者ニック役は大塚芳忠さん


新シリーズにおいて、

10作目「マリブビーチ殺人事件」 犯人役、

15作目「初夜に消えた花嫁」 刑事役、


そして今回は、殺されて然るべきゲス野郎な被害者を吹き替えた。


犯人、刑事、被害者と吹き替えを担当したのはこの大塚芳忠さん池田秀一さんのみである。



共犯関係にあるリサ役は、シリーズ3度目の出演となる佐々木優子さんが担当している。




<総合評価>


ドラマとしては素晴らしいが、ミステリー的に惜しい。


ただし高畑淳子さんの出演ともあって個人的にポイントをプラス!


8.5