close-少年達の戦い-

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過去のあの戦いを今、終わらせに行こう───。

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 「──君が、釖哉くんかい?」
男の声が聞こえた。
海の中……深い……なんで、俺はこんな所に居るんだろう。
意識がはっきりせず、只。声の主の話を聞くだけであった。
(あぁ……そうだよ。俺がトウヤだ。何か用か?)
俺は脳で会話した。
「そうかい、なら良かった……今度、こちらの世界に来てくれないか?」
「“こちらの世界”? 何処だ? そこは……」
「まぁ、来てくれば分かるよ。来てくれるのかい?」
「何でさ……行く意味が無いじゃないか。」
俺はそう答えた。
「そうか、言い忘れてたね。君のお祖父さん事知りたいと思わない?」
「祖父ちゃんの事……?」
そうだ。行方不明になった祖父の事を何故こいつは知っているのだろう……恐怖が込み上げてきた。
「お祖父さんはとても素晴らしかったよ。こちらの世界で勇者となったんだ。」
何を言っているのかサッパリだと思った。
意味不明にも程があるじゃないか。
「じゃあ、言ってやるよ。その言葉……忘れんじゃねぇぞ。」
「あぁ、約束するよ。必ず来てね……勇者のお孫さん───。」
その言葉を最後に俺は海の中の奥へと沈んでった。




 目が覚める。
部屋の窓から差し込む朝日が一日の始まりを告げる悪魔だと俺は思っている。
学校は面倒臭いなぁと思いつつ体を起こす。
腕を伸ばし、脳に目覚めのサインを送る。
ベッドから離れ、机の上に置いてある自分のスマートフォンを見つめる。
スマートフォンを手に取り、SNSを開く。
「特に何も……」
俺はふと異変に気付く。
「新しい友だち」と書かれたリストを発見した。
「誰だよ……」
俺はこの人物を追加した覚えも無いのに、追加されているのだ。
単に自分が忘れているのかもしれない。そう思いスマートフォンをポケットの中に仕舞い込む。
そうして、部屋を出て一階に下りた。

 「おはよう。」
両親に朝の挨拶をする。
「おはよう、釖哉。」
と返してくれる両親。
正直、挨拶なんて面倒だし、したくないのが本音だが、しなくてならないと家族のルールとなっているのだ。
しなくても居るならそれで良いじゃないかと思う自分であった。
母がつくってくれた朝食を食べようと席に座ったら、背後に気配を感じた。
しかも、こちらを襲おうとしている気配。
後頭部にデコピンを食らった。
「おい、飯を食う前に洗顔と歯磨きをしろよ。」
この吐き気がする様な声は……
「分かったよ、するよ。ったく……」
そう言って、席を立ち、背後の女の名前を呼ぶ。
「クソ妹の羽花」
「はいはい。御託は良いから行って来いや~」
そう妹の羽花に返され、洗面所に行く。
「あんにゃろー、本当に生意気だなぁ。」
洗面所の鏡を見た。
それは……自分ではないとすぐ理解出来た。
「誰だ……?」
白髪で何やら犬の耳なのか猫の耳なのかよく分からないが、耳が頭にある。
俺はゆっくり下がり洗面所の戸を閉め、鏡の人物に訊く。
「君と話したよ。」
そうか、夢で話したのはコイツか。
声でコイツだったのかと分かる。
「必ず来てくれよ、釖哉くん。」
そう男は言い、消えた。
「………」
俺は名前も訊けず、彼は消えた。
 俺は気にせず、洗顔をし、歯を磨き、リビングに戻った。
(あいつ……なんだったんだろう。)
そう思いながらも食事をする。
朝食を食べ終え、部屋に戻り、学校の制服に着替えた。
またリビングから洗面所に戻り、再び歯を磨く。
リビングに入り、テレビを観るだけ……
そう思うが、俺はあの男の話で思考は埋め尽くされている。
“向こうの世界”、“祖父が勇者”、“祖父を知るあの男”。
これは一体、向こうの世界に何かあったとしか考えられないと思えた。
しかも、それは祖父が関係していると。
これ以上は何も答えが出ない。
何故、祖父は忽然と行方知れずとなり、向こうの世界で勇者となり得たのであろうか。
祖父は、俺が生まれる前に消えたって親父が言っていたな。
祖母も何処かへ行って、死んだじゃないかと笑いながら言ってた。
なんなんだよ、俺の家族って……
狂っている家族に自分も居ると死にたくなってきたな、オイ……
そんなこんな考えてたら、もう家を出る時間となってしまった。
「じゃ、俺行ってくるね。」
と告げ、家を出る。
家族は、「行ってらっしゃい」と言ってくれた。
言うだけ得なんて無いのに、理由はなんだろうなと思いつつ、自転車に乗り、駅まで目指す。



 いつも変わらないルートで駅まで行く。
それは自分の世界の様で楽しいのだ。
タイヤの「シャー」と音をたてながら走らす。
駅前の自転車置場に自転車を適当に置き、鍵を掛け、鍵を抜き取って、歩いて、エレベーターで改札付近まで行き、改札をICカードで通り、学校の最寄り駅の番線に行く。
ホームには通勤・通学ラッシュで大勢の人集りだ。
適当な号車で電車を待つ。
「ねぇ、菊谷君? 菊谷君だ!」
俺を見つけた様な声を聞こえた。
横を向いたら、同じ学校の女子だ。
「あっ、桐澤さん。おはよう。」
「おはよう、今日は暖かいね。」
「そうですね……」
今日は五月七日だっけ?
スマートフォンで今日の日にちを確認する。
今日は五月六日だ。
まぁ、特に何もないと良いけど……と、不幸から逃れる暗示をかけた。
しかし……そんな事は次の一瞬で無意味と化した。


「……そんな」


俺は見上げる。
物の怪の類だろうか、そんな物が宙に浮いている。
俺は只立ち尽くしているだけであった。

「キリサワとキクタニの子孫か……此処で一族の仇を!!」
「あっちゃあー、此処にも来てんの? お前の一族は雑魚じゃん。知ってんだよ?」
桐澤さんは笑いながら、物の怪を見る。
(あの怪物と知り合いなのか……?)
周りが騒いでいて、思考が働かない。
「あんま、無関係を傷付けたくないんだけど、仕方ないよね!」
桐澤さんは竹刀を手に持っている。
「これでどうだ!!!」
と言い、竹刀を物の怪に向かって振った。
その瞬間、竹刀からオーラが物の怪に飛んだのが見えた。
そして、物の怪は切られ、砂のように消えた。
「桐澤さん……! それ……」
「うん? あぁ、これ? 妖刀なんだ。まぁ、あぁ言うのしか切れないから大丈夫、心配しないで!」
そう言って桐澤さんはニコッと俺に微笑んだ。
なんなんだよ。……何が起きたんだよ。