装丁が本当に美しい本です。

器な生活-装丁1

イタリアの記号学者ウンベルト・エーコ。
彼の学術的な本はあまり面白いと思いませんが、
余技として書いた『薔薇の名前』はめちゃくちゃ面白い小説でした。
こちらはまた改めて。

フランスの脚本家ジャン・クロード・カリエール。
映画「ブリキの太鼓」の脚本家です。


器な生活-ブリキの太鼓

これもすごく面白い映画なのですが、
話し出すと長くなるのでまたの機会にしたいと思います。

さて、このお二人。
強烈な本の収集家でもあります。

エーコは記号学者なので、
16世紀ごろの稀少本などを持っているのは理解できますが、
脚本家のカリエールもそれに劣らないコレクターでした。

二人の話で面白いのは、
書物という存在がどのように作られてきたのか、
その歴史をたどれる、ということでした。

特に、「インキュナビュラ」の話は「へえ~」でした。
「インキュナビュラ」は印刷技術が発明されてから、
1500年12月31日までに印刷された書物のことらしいです。

紙に印刷された本であるにも関わらず、
1500年以前と以後で分けるというヨーロッパの考え方に、
妙に感心しちゃいました。

書かれたモノに対するフェチ度が、
やはりヨーロッパでは違うのでしょうね。

そういうば、『薔薇の名前』も本をめぐる推理小説です。
小説に出てくる人はほとんど書物フェチでした。
フェチが極まって猟奇的な殺人が起こる話です。

少なくとも日本ではお目に掛からないようなお話でした。

『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』では、
装丁の話も出てきます。

本の魅力は書かれた内容だけではなく、
装丁の美しさにもある、ということです。

なるほど、私たちはジャケ買いを行うように、
本の装丁買いだって行います。

そう考えると、この本の装丁が松田行正さんだということもうなずけます。
松田さんの装丁は、どこか私たちをひきつけます。

ちょっと前、『超訳ニーチェの言葉』が話題になりました。
この装丁も松田さんのものです。

器な生活-装丁2

こちらの内容は正直、面白くありませんでした。
本屋で手にして、パラパラみましたが、
「なんじゃ、これ」というのが正直な感想でした。
でもやはり買いたくなる。

私も書物フェチなのかもしれません。