浪人生と元十両を乗せた電車 が駅に到着しました。


しかし、内側からの圧力でドアが開きません。
他の扉は開き、降りたお客さんがホームを歩いています。


元十両は どすこいっ! ではなく、ふんっ!と扉を開け、
自分だけ降りました。扉は開ききっていません。


朝から愛弟子でもない他人を気遣う余裕はないようです。


でも、元十両が通れるほど開けば一般人は通れます。
3人ほど元十両の後に続きます。


それでも、まだ開ききらない扉。


ようやく降りたい人たちが頭を働かせ、

ドア付近の圧力が軽減され、扉が開きました!


降り遅れないように押し合います。
元十両なき後は、誰も波を止められません。


私はすぐにホームに降りました。


あっ!


ジャージの浪人生が叫びました。


目前で浪人生が両足首から先だけを電車内に残し、
左手で電車に掴まり、膝と腰を曲げ、

応援団の旗のように体が45度で揺れています。


降りればいいのに、なぜ電車内に留まりたいのでしょう?
邪魔だから降りなよ!


あ~~~っ!


浪人生が叫びました。


最後の砦の足も押し出され、ホームに尻餅を着くのが早いかいなか、
スニーカーが電車とホームの間に蹴り落とされました。


降りる邪魔をした浪人生に対する怒りもあったのでしょうか。


脱いだ靴を履けず、降りようにも降りられなかったのです。


浪人生、落ちちゃいました!
落ちた浪人生、どうするのでしょうか!

浪人生に落ちた落ちたと連呼するのは不吉ですね。


元十両が扉を開けなければ靴は落ちなかったでしょう。
出会わなければ良かった元十両と浪人生。
あまりにも悲劇的な2人の出会いが、せつないです。


浪人生は呆然とたたずんでいます。
騒がしい朝のラッシュのホームですが、
浪人生が、あまりにも大声で叫ぶので周囲がちらっと見ました。


しかし、声をかける者はいません。
若い女性なら声をかけられるでしょうが、
むさい男に救いの手を差し伸べる者は一人もいません。

これが現実です。


数人は片方だけしか靴を履いていないのに気づきましたが、
泣いている少女に差し出すハンカチではありません。

私の靴を貸してあげましょうか? と申し出る人はいません。


浪人生は駅員に言いに行かず、そのまま立っています。
駅員は発車時の安全確認で忙しく、声をかけても後回しでしょう。


私の降りる駅は、ここではありません。

まだドア付近にいる浪人生の横を通り乗り込みました。


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電車は次の駅に到着しました。
乗降が終わっても停車しています。

停車時間が長過ぎます。


構内アナウンスが流れました。


発車時間を過ぎていますが、
次の電車を連絡してからの出発となります。
ご乗車になって、ドア付近を開けて、今しばらくお待ち下さいませ。


浪人生の靴を拾うために
後続の電車が駅のホームに入れなかったのでしょう。


ようやく次の電車を連絡してから発車すると、

お急ぎのところ申し訳ございません。
連絡の電車が遅れたために3分遅れで運行しております。


浪人生のために何人が迷惑したのやら・・。


机の下で靴を脱ぐサラリーマンやOLはいますが、


通勤・通学ラッシュの電車で靴を脱ぐのはNG!


もちろん、足の裏を人にくっつけてはいけません!

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