3月31日。
私が大切な友を失った日。
その事実を知ったのは、半年も後だった。
彼女は優しかった。
そして、よくできた人だった。
英語を話す声が好きだった。
子供が生まれてからも、学び続けていた。
——私は、それが嫌いだった。
まぶしすぎて、目を逸らした。
そして、連絡を絶った。
私たちは学生時代、家族より長い時間を一緒に過ごした。
あの頃は、それが当たり前だと思っていた。
毎日が、ただ楽しかった。
けれど、変わったのは私のほうだった。
婚前に子を宿し、結婚した。
それから、世界の色が変わった。
彼女は前へ進んでいた。
私は、暗い場所に閉ざされていた。
夫は暴力を振るった。
幼い我が子にも、手を上げようとした。
私は子供をかばった。
気がつけば、体中が痣だらけだった。
やがて離婚した。
それでも、何も終わってはいなかった。
彼女は結婚しても学び続けていた。
子供を夫や母親に預け、自分の時間を持っていた。
——それが、許せなかった。
私は、彼女に甘えていた。
どんな感情も、
どんな醜さも、
彼女なら許してくれると、思っていた。
嫉妬も、羨望も、
そのままにしていた。
向き合わなかった。
だから——
間に合わなかった。
許しを乞う前に、
彼女はこの世を去ってしまった。
私は何度も思い出した。
あの日と、言えなかった言葉を。
後悔は消えなかった。
懺悔に変えようとしても、届かなかった。
——それから、十二年。
私はようやく祈るようになった。
許してほしいからではない。
忘れたいからでもない。
ただ、感謝のほうへ、生きていくために。
2026年、3月31日。
この日から、私は変わると決めた。
届かないとわかっていても、
それでも祈り続けるために。