最近「趣向が面白いな、新しいな」と思えるお店に出会うことが多いです。
オープンしたばかりのなかなか面白いお店だと紹介され、伺った麻布十番の「うなぎ時任」。
「鰻料理にこんな展開があるのね。」と嬉しい驚きが続くコースをいただきました。
御食事は18:00~のスタート。
お料理はコース1種類のみ。
コースが1種類なのはわかるけれど、スタート時間まで決められているのね・・・・と予約時はちょっと”かまえて”しまいましたが、伺ったらその意味に納得。
全て、美味しくいただくための段取りなのです。
用意されているのは、宍道湖産、700gr 程度の天然鰻です。
活きている鰻をゲストの前でさばくところから始まります。
焼いて蒸して再び焼くのを待つ間、前菜からコースがスタート。
前菜は、うまき、燻製、煮凝りとうなぎ尽くし。
フワフワした玉子にくるまれた山椒が効いたうまき、鰻の旨みが閉じ込められた煮凝り、芳ばしい燻製。
お造りは、高知の香り高い鰹、鳴門の鯛はお刺身と昆布締めの2種類の美味しさ。
大正ロマンを感じる繊細な造りの備前焼きのお皿も見事です。
椀物は、白焼きした鰻、鱧、山芋でくるんで揚げたすっぽん。
歯をたてるのがためらわれるほど繊細な柔らかさです。
すっぽんと鰹でとった出汁は、とても力強い美味しさです。
お椀はなんと明治時代の輪島塗。
八寸は、沖縄のもずく酢、山形の枝豆、北海道の毛蟹にイクラと塩水雲丹、伊豆の蒸し黒鮑、フランス産鴨とキャラメリゼしたラフランス。
贅沢すぎる食材の組み合わせに、自然と口元がほころびます。
芳ばしく焼きあがった白焼き。
すだちとキャビアをのせていただきます。
キャビアが適度な塩気を与え、ネットリトした食感がパリパリした焼き上がりと好対照。
鰻の赤ワイン煮。
シャトー・ディケムがペアリングで付いてくるのです。
軽くキャラメリゼしたフォアグラの上品な脂、赤ワインの酸味とソーテルヌのスッキリとした穏やかな甘みが鰻を主役に引き立てます。
夏の鰻なので、フォアグラの脂が加わり丁度よいのかな。
こんな見事な合わせ方があるのですね!
驚きとともに、鰻の新しい美味しさを発見できました。
そして締めはうな重です。
器は江戸時代の輪島塗。
見事な飴色の焼き上がり。
鰻の繊細な美味しさを損なわないよう、焦がす焼き方はしない。
お米も天日干しのものを特別に作ってもらっている。
など随所に美味しさへのこだわりが感じられます。
皮、身、お米が渾然一体となった素晴らしいうな重。
タレは小豆島の醤油や三河のみりんを使ったとても軽くて上品な味わいです。
幼い頃から鰻より好きだった肝吸い。
内臓の旨みタップリの苦さがたまりません。
天然鰻、余すところなく堪能しました!
出来立ての葛餅と、店主自らたててくださった抹茶。
茶椀はゲスト一人一人の雰囲気をみて選ぶそうです。
大好きな紫色のお椀が出されてビックリ。
器も愛でながらいただく会席仕立ての鰻コース。
15歳で鰻屋の門をたたいた店主。
そのお店のパリ支店でも働きました。
パリ在住時にフレンチの世界に触れ、鰻の新しい展開を考えるようになったそうです。
そして満を持してオープンさせた「うなぎ時任」。
伝統的な鰻に様々なエッセンスが加えられ、印象に残る独特のうなぎの楽しみ方を教えていただきました。
大事な方に教えたいお店です。
住所: 東京都港区麻布十番2-5-11 AZABUMAISON 201
電話: 050-5596-0456
うなぎ時任 (うなぎ / 麻布十番駅、六本木駅、赤羽橋駅)
夜総合点★★★★☆ 4.3
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