先月14日に奈良国立博物館で開催されている藤田美術館展を観に行った。目的は、当然というか曜変天目茶碗を観るためである。この茶碗は普段は大阪城近くの藤田美術館にあり、毎年公開されていたように思う。近所という訳では無いが、公開時にいつでも観に行けるという気持ちがあることと、自分の健康状態も悪くて、機会を逃していた。今回、奈良まで行って観ることになったのは、藤田美術館が建て替えでしばらく公開されなくなり、数年待たないと観ることができないかも知れないことがわかったためである。
曜変天目茶碗は、小さく囲われたブースにあり、近くで観るためには並んで一人ずつ観ることになる。茶碗を中心にして、Ωの字のように茶碗の周りを回る。
茶碗を観たときの照明はおそらくLEDが光源だろうと思う。透き通るように見える深みに沈んだ奥から見える青色の模様が何とも言えない美しさを感じさせてくれる。見る方向や角度を変えたると見え方が変わり、印象も変化する。ゆっくりと右廻りに一周して観るようにセッティングされていて、光の加減も良い。回るに連れて景色が変わり、それを距離と方向を変えながら観ると視野の中の像も微妙に変わり見飽きることが無い。一人で観ている訳では無いので、じわじわと回転角を増して、一周すれば、その場を離れないといけない。再度並んで繰り返し観ることもできるが体調がそれをさせてくれない。
茶碗は、釉薬がかけてあって様々な模様があっても感じとしては平面的に見えるものも多いが、この茶碗は深みを感じる。ガラス質のものが厚みがあって観る方向や光線の当たり具合によって見え方に変化を及ぼしているのだろうか。
観とれるように凝視しながら考えていたことは、昔の人は、どのように感じたのだろうかということである。現在よりもっと神秘的な姿を観たのではないだろうか。当時の光源は、今のように強くなくもっと暗かっただろうし、ろうそくなどの場合は炎も揺らめいただろうから。
この藤田美術館展も明日で終わる。近くで車で行ければ何度も観に行きたいが、そうはいかない。
