前の部屋とは作りが同じでカーテンで仕切られる大部屋は声や動作に伴う音はまるぎこえだ。遮断さていることで視覚によるプライバシー保護があるばかりで、臭いまで共用である。窓側と大きく異なると言えば、カーテンの仕切りが少々狭い点ぐらいなものである。部屋での生活ではそれでも事足りるので不自由さは感じられない。また、怪我の大きさでベッドのマットレスがことなるのもありがたい。僕の場合は左足首から膝にかけての三本、複雑骨折してしまっていて、これ以上骨折の進行を止めるための処置として、大がかりな装置をつけられている。かかとの骨には、二本チタンの直径五ミリほどの杭がねじ込まれ外に露出している。同じように串刺しになった状態の物が今度は弁慶の泣きどころと呼ばれるかしょにあり、また、少し離れて膝小僧の上太ももの中心あたりに、二本突き刺さっているのである。いずれも骨に食い込ませているのでちょっとやそっとでは外れない。その状態のまま、カーボン製の太い棒でそれぞれの杭を橋渡ししながらボルト固定しているのである。医師らの間ではジャングルジムと呼んでいるが納得できるほどの出来栄えである。この装置は折れたときのままの骨の状態をキープできる利点があるらしい。直ぐに手術が出来ない患者の為の暫定処置というわけだ。僕の場合は骨折の度合いが酷く、それにともなうふくらはぎの腫れが尋常ではないことがあげられた。まるで太股と見間違えるほど腫れ上がったその脚は、筋肉組織の正常は反応ではあるが、それ故に内部の血管と神経を閉塞或いは破裂させてしまいかねないとの判断で、一端手術で装置固定というながれになってしまった。その際に皮膚表面を切開し、一度筋肉の逃げ場を確保する状態もつくった。ダイヤモンド型の亀裂をいくつもつくり筋肉組織を露出させているのである。こうした、医師の迅速かつ適切な処置のおかげで折れたとはいえ、悪化のない、回復を目指すための保存が整ったのである。マットレスが空気をいれて作られたものなので長時間寝かされていても全く負担を感じない。こうした怪我の場合、むしろ床ずれや圧迫による血流の悪さで他の病気を誘発しかねない。僕の場合は、自宅以上の快適さを感じていたほどである。その喜びはただ、数日間のみになってしまったのは残念で仕方がなかった。