小説そのうちでます


『夏の夕暮れ』

男は、頭が少しふらつくのを覚えた。

最近増えた気がする。

ぐわんと目が回る。2~3秒したらおさまるのだが、たまに立ちくらみに似た症状も同時に起こる。

血糖値が下がったからだと自分に言い聞かせていた。


思えば事故のリハビリとして書き始めたのである。

自分の記録。

自分自身への問いかけ。


最初はラップを作るための、ネタになるように書きなぐっていた。

ファイルに毎日テーマを決めて書いていたのである。

脳を使う。

細胞を死滅させるだけが能ではない。

最近の研究ではシナプスは再生するといわれている。

「繋いでいこう、文字も生活も神経も」

様々なことに悩む彼がいる。

その悩みを分析し払いのけようとする時、それが何かに乗り移る。

苦悩の代わりになって別の美という普遍なものへと変わっていく。

悩みが多い者は、どこかで仕立てている、そんな宿命を負っているんだろう。

作品を作るという代償は悲しみや辛さなのだ。

今日の夕日は悩みの中を生きた証。

明日も生きたいと願いながら、また一つ美を綴っていった。