小説そのうちでます-水筒


『水筒』

自分はせっかちだと思う。

かなりそう思う。人にも言われるが、言われる前から感じているので、指摘されると癇に障る。

書く文章もそのようである。

とにかくすべてを書き終えたいと思う。言葉を選ぶまもなく、ずらずらと並べあげてフィニッシュ。

そうして、書いたことで満足し興奮している。

別の用事を片付けて、落ち着いた頃にもう一度その文章を読んでみる。

おかしなところばかりが目に付く。

書き直すぐらいならば最初からよく考えるべきだと我ながら反省してしまうのである。


人生のうち、自我に目覚めた頃、Rapなどというものに出会ってしまったからであろうか。それが自分の思考力を加速させたのかもしれない。

言葉遊びのラップは次々言葉を繋いでいく、小説のようなものである。

電光石火の速さで口から話が生まれる。時に関連性のある話題を次々につむぎ、時に意外性のあるネタで聞く側の度肝を抜く。そして感心と笑いを誘うのだ。ほとんど休む間もない、休むことは失敗だと感じてしまう。


男はほとほと疲れてきたようだ。 ラップではない、詩を綴る文を作りたいと思い始めた。


一息つく。そんな時間を用意するために、水筒を貰い受けた。自分で買わないところがまた、いやしい。


このまませっかちでいってもよいという姿勢の中に、やっぱり落ち着きもあったほうがよいのだがと優柔不断さが見えるからである。


まぁいずれにしても、その水筒のおかげもあって、文を推敲する余裕が生まれてきた。

男の狙いは適ったようである。