小説そのうちでます


見る人が見れば分かってしまう。そんな蔓性の植物

『自然薯』


5月にはそのカワズからニョキニョキと芽を延ばし、6月の梅雨の恵みをうけて更に蔓を這わせる。

7月ともなれば雑草に混ざってどんどん上を目指し伸びる。

光合成を求める性質を蔓性ならではの利点を生かして貪欲なまでに露にする。

早い者は5m以上もある木の上に葉を広げている。

その葉を見つけると元を探すのである。

右巻き左巻きと様々な蔓がびっしりと絡んでいたり、そっくりで良く見ても間違えてしまいそうな葉がたくさんあったりする。その中から確実なものを目でたどるのである。


そうして地面の怪しげな蔓の元を探し当てる。

「これだ!」

自然を愛する人たちならば誰もがわくわくする瞬間だ。

なんとも地味な宝探しなのだ。

そう、葉の大きさ、蔓の太さ、そしてどこまでも伸びるその生命力に驚嘆して今年の獲物の成長を願うのである。


獲物とはまさにヤマイモのことだ。


一度食した時からもうすっかり虜になった男は、毎日上を見上げ葉を蔓を捜す。その獲物がどれほどのものになるか想像しながら・・・