魚釣りに関しては思うところがたくさんある。

別に改めて小説にしたいほどである。



小説あります-ブルーギル


『青鰓』

サンフィッシュ科の小さな攻撃手、ブルーギル。ブラックバスとは親戚だ。広く言えば海のスズキとも仲間である。

こいつは案外やんちゃな動きをする。小さな鯛のような引きとでも言おうか、横に走り、下にもぐりとせわしない。

体つきからしてもすぐに釣り上げられそうな大きさだが、掌を越えるものは中々どうして手強い。中学生くらいの腕力ならばたちまち糸を切られてしまうのではないかと思われるほどだ。


お腹の辺りに朱色の斑点が見え紅色あるいはオレンジ色に輝く頃が最も凶暴だ。手当たり次第に喰らいつき、何でもむさぼりつく。そのくせ、臆病なところもあり、木々や沈んだ流木や大きな岩影に隠れている。また、安全だと分かるとそうした影から水面あたりに出てきて、酸素の濃い水をいっぱいに吸い込んでいる。鰓の突起が紺色になっているところからブルーギルという名前がついたらしいが、大きな鰓ゆえ、酸素もいっぱい取り込めそうだ。口はおちょぼ口でよくもそんなにがっつけるものだと感心する。


敏捷に動き回るそれを子供の頃水槽のなかでよく眺めていた。

高温を好む彼らはちょっとした熱帯魚だ。だからか、水槽の中には色とりどりの淡水魚と一緒に住まわせた。

案外と他の魚を攻撃したり食べたりはしない。自分と同じかあるいはそれよりも大きいものには手を出さない。


その代わり、小さいものをひとたび見つけると、どこまでも追いかける。どんな隙間にでも逃げ隠れしようがお構いなく追いかける。

そして出てくるまでその場にじっとしているのである。


彼はその習性を知っている。よく隠れる場所も知っている。

釣竿にたらした仕掛けを、そっと木陰から水面下に落とした。

奴は案の定、その仕掛けに喰らい付いた。