なにが起こるかわからない「本番」・・・。
よく、ミスをしました。
ミスとか、トラブルとか。

1度、時代劇で効果音が出なかった時があります。
芝居が始まってすぐのチャンバラシーン。

曲がガンガンにかかってる中で、本当は「カキン!」「カキン!」という刀同士がぶつかる音や
「ズバッ!」「グサッ!」という斬る音が派手に鳴るはずでした。
派手なシーンです。曲はロックです。
そのガンガンにかかった曲が、最後ピストルの音でカットアウトする、そういう迫力満点のシーンでした。
でも、その音たちが出なかった・・・。

曲はかかるんです。
効果音は、殺陣を見ながらサンプラーという機械で鍵盤を押すようにして出していたのですが、
そのサンプラーの音が出なかったのです。
盛り上がるはずの最初のシーンは、でっかいBGMの中での無声映画のようになってしまいました。

それでも舞台は続きます。
とりあえずスタッフと役者にインカム(劇場内のケータイみたいな連絡手段)で「サンプラーの
トラブルです」と伝え、音響をやりながらサンプラーをどうにか復旧させようとしました。
 
時代劇なので、その後もチャンバラシーンがあったのです。それまでに復旧を!
 
舞台監督や照明さんまで音響席に来て、みんなでああだこうだと言い(でも小声)、
なんとかトラブルの原因がわかり、次の殺陣には間に合いました。
ホントにあれは・・・びびった・・・。
 
他にも、曲を間違えて流したとか、曲の途中で停止してしまったとか、音量を間違えたとか、
キッカケを間違えたとか、いろいろミスしてきました。
 
ミスした時に大切なのは、切替です。
本番は続いているのです。
客は見ているのです。
芝居は、その世界観を壊してはいけません。
ミスを引きずらず、その後のオペレーションをきちんとやるのが一番大切なのです。
それに関しては私はけっこう図太くて、ミスしても「そういう演出です」って感じでごまかすのは
得意でした。
 
なので、やっぱりあのサンプラーのトラブルが一番のミスです。
今思い出しても恐ろしい・・・。