「英明さん、今日もお留守番よろしくね。」と声を掛けてしっぽをなでなでする。
はまっている韓国ドラマから付けた名前だ。
あだ名は、メイメイ(明々)だ。
『・・・』
「ゴミ出し忘れてるって?教えてくれてありがとうね!」
こんな関係になれたのは最近のこと。
香炉が付喪神だとわかった日からいつも心臓はバクバクだ。
だってしゃべる香炉なんて怖すぎる。
夜中のトイレに起きた時に話しかけられたら絶叫する自信がある。
「なーんでじぶんの家なのに緊張しなくちゃいけないんだか。。。」
そうだ!
他にもきっと付喪神と暮らしている人たちがいるはず!
検索して情報を探す、付喪神が出てくる本を読む。
うーん、子供のころから視えて聞こえている人たちの手記的な本ならあったんだけどー。
結論。
霊感のない普通の人はそれと気づかず付喪神と暮らしている。たぶん。
彼女からしばらくぶりに連絡がきた。
神様のお使いで神社に行くはずが突然女の子の日が始まってしまい行けなくなったそうだ。
お寺に行くことにして空いた時間でぶらぶらと京都の町を散策していると気になる骨董屋が。
入ってみると自分を呼んでいる何かの気配。
「いやー、それがね、なんと香炉だったの!」
彼女と私、同時に香炉の付喪神と暮らし始めたのだった。
