読者のみなさま、こんばんは
「イタキス熱再燃中につき、臨時営業中」(PC版でだけ見れます)などと、ご大層な看板を掲げておきながら相変わらずの放置状態で早1ヶ月・・・
もし、更新を楽しみにしてくださっていたらごめんなさい
実はキューブ・・・焼けぼっくいに火が付きすぎちゃって(…ってたとえが違う?)ひたすらイタキス漬けの日々を送ってました・・・
まだ途中だった小説も放り出し、このクールのドラマも録画したまま見もせずに。
そりゃあもう~イタキス1を最初から全部見て、イタキス2も見て、さらには1吻や2吻も日キスと比べながら見て~と、もうどっぷり
それで、やっとひと心地ついたので、お話をひとつ書きました。
今回のお話は、 【Secondary~惡作劇之吻】の『彷徨いの先に見えたもの 』の日キス編といったところでしょうか。
これを書こうと思ったきっかけなどはあとがきで。
あまあま無しの短めシリアスバージョンとなっていますが、まずはお読みくださいませ
どうか、お楽しみいただけますように・・・
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イタキス1 《最終話》 より
~雨に立ちつくして・・・~
『あーら聞いてないの?・・・金ちゃん、琴子にプロポーズしたのよ!』
じんこの放ったその言葉を聞いた瞬間、胸に今までに感じたことのない痛みを感じた。
それは、心に太い楔を打ち込まれたような鋭い痛み・・・
ただ呆然と歩いていた。
何も考えられなかった。
自分がどこに向かっているのか、何をしたかったのかすらわからなくなっていた。
それでも、あの日お台場で見た琴子と池澤の姿が何度も浮かんできて、その度にオレの胸の痛みは増して行った。
ふと、まつ毛をかすめた雨粒に誘われるように空を見上げた。
鈍色の空から落ちてくる雫は、まるでオレを責めるように一粒一粒と頬を打っていく・・・
本当にこのままでいいのか?・・・と。
それは、おふくろや親父に何度も問いただされた言葉。
そのたびにこのままでいいのだと、自分に言い聞かせてきた。
それは、大泉グループからの出資金を得るために沙穂子さんと結婚すること。
経営不振に陥ったパンダイを再建して親父の後を継ぐこと。
相原のおじさんと琴子が入江家を出ていくこと。
それは、オレの前から琴子が永遠に消えてしまうということ・・・
やっと見つけた夢もあきらめて、それでもいいのだと納得して決めたことのはずだった。
沙穂子さんは、誰もが羨むようなオレに似合いの人なんだと。
それなのに、オレは池澤が琴子にプロポーズしたことを知ってこんなにも動揺している。
急に強く降り出した雨の中に立ち尽くしたまま動けないでいる・・・
そんなオレを嘲笑うように、雨に打たれたカツラの木が、ざわざわとハートの形をした葉を揺らしていた。
不意に沙穂子さんに言われた言葉が蘇ってきた・・・
「自分の本当の気持ちには気づいていらっしゃらないのね」
沙穂子さんにすら見抜かれていたオレの本当の気持ち・・・
本当は、もうずっと前からわかっていた気がするこの気持ち・・・
それでも、家族を守るため、会社を救うために心の奥底に封じ込めたはずだった。
でも、今堰を切ったように吹き出してくるこの想いをもう抑えることはできない・・・
今となってはもう琴子のいない日々など考えられなくなっていたことに、やっと気が付いた。
あんなにも酷い仕打ちをしながら、それでも琴子が他の誰かのものになるなんて思ってもいなかったことにも。
―琴子。オレもお前が好きだ・・・たぶんもうずっと前から。
鎧のように固く纏った理性が、激しい雨に打たれて剥がれ落ちていく。
オレは、どうしてこんなにもがんじがらめになっていたのだろう・・・
心を偽って得るものに、どんな未来が待っているというのか・・・
たとえ、親父の会社を再建できたとしても、そこには琴子と知り合う前よりももっと空虚で白い闇しか見えてこない。
オレがしようとしていたことは、本当は誰も幸せにできないことなのだと、どうして気づけなかったのか・・・
琴子を失う代わりに手に入れるものなど、何の価値もありはしないだから。
―だから琴子、お前もオレを諦めなくていい・・・お前は誰にも渡さない。
たとえ、池澤のプロポーズにYESと答えてしまっていてもかまわない。
それが琴子の本心でないことはオレが一番良く知っている。
そうさ、琴子は今でもオレのことが・・・オレだけが好きなはずだから。
いつの間にか、胸の痛みも消えていた・・・
本当の気持ちと向き合えた心にもう迷いはない。
オレは、雨に打たれたまま静かに歩き出した。
きっと今日のこの空のように、どこかで泣いている琴子を探すために・・・
そして、この手に抱きしめて想いを伝えるために・・・
END
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さて、いかがでしたでしょうか・・・
なんだか硬いですね~
まぁ、リハビリ中の身としてはなかなか健闘したのではないかと自己評価していますが、やはり読者のみなさまの感想は気になるところです。
さて、まえがきでも書きましたが、このシーンをお話に書こうと思ったきっかけをちょこっとうんちくさせてくださいね
金之助が琴子にプロポーズしたことを知って直樹が動揺するこのシーンは、2人が結ばれる直前のとっても大切なシーンですね。
ここでどれだけ直樹の気持ちの変化を表現できるかで、その後の雨のキスシーンがより感動的なものになるかは読者のみなさまなら良くご存知だと思います。
そしてキューブ的には、あれほど心酔していた1吻よりも、もちろん原作よりもこのイタキス1での演出をダントツ1位に推したいと思ったんです。
(注:キューブは残念なことながら韓国版のイタキスは観ていませんのであしからず・・・)
1吻のジョセフ@直樹は、琴子を探して雨の中を走っていました。
1吻では、それまでのクールな直樹からは想像できない必死さで琴子を探す姿に、琴子を失ってしまうかもしれないという焦りとか、初めて好きという気持ちに気づいた戸惑いが感じられる演出になっていたかなと思います。
それにひきかえ原作の直樹のこのシーンは、たった一コマ
それも、セリフもない「・・・・・・」(点6個)だけのさっぱりしたもので、あの一コマから直樹の心情を汲み取るにはかなりのイタキスの熟練にならないとちょっと無理があるような気がします。
そして最新のイタキス1では、そのたった一コマだった原作のシーンを膨らませた演出となっていましたね。
雨の中で立ちつくす直樹のアップと引きの映像、雨と風景とスローモーションを実にうまく組み合わせていてとても綺麗なシーンになっていました。
古川君@直樹の表情の演技もすごく良かったですね。
クールな直樹のまま、きっと心の中ではめちゃくちゃ葛藤してるんだろうなぁと思える心情が表情から伝わってきました
いやぁ~あんまり素晴らしくて何度もリピして見ちゃいましたよ~
で、あんまり見すぎちゃって、今回のお話が書きたくなっちゃったというわけです
まえがきでリンクを貼った1吻バージョンのお話と比べて読んでいただくのも面白いと思います。
あくまでも、ここでのお話はキューブの想像と妄想から出来上がったものですが、ドラマの演出が違うと、同じはずの直樹の心情も微妙に違っていますからね。
さて、うんちくという程のものではありませんでしたが、お楽しみいただけたでしょうか・・・
この先、まだいくつか日キスをベースにお話を書きたいと思っています。
できれば、日キスの直樹&琴子と一条先生の共演も・・・と
次は、今回ほど長く放置することなくお目にかかれるようがんばります
次回もどうぞ、お楽しみに・・・
By キューブ