読者のみなさまには、いつも私のお話を楽しみにしていただきまして、ありがとうございますひらめき電球


実は、この連載を先週から始めたことをちーとばかり後悔してましたあせる

なんせ、今週ってお盆の週だったんですよね~(;^_^A アセアセ・・・

1話が書きあがった嬉しさで、勢いつけてアップしちゃいましたが、仕事が忙しくて先が続きませんで

したからね・・・


それでもなんとか1話のアップから1週間とちょっとで2話を完成させることができましたC=(^◇^ ; ホッ

まだまだあれこれと伏線も張って行きたいので、内容については、つべこべは言いませんよ・・・にひひ


どうか、お楽しみいただけますように・・・音譜



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    一条紗江子物語・・・

   ~未来へ続く恋~ ≪2≫



惣介・・・あなたはいつもそうだった。
言葉少なで、でも誠実で・・・


本当に嘘つきだったのは・・・私。


あなたが正直すぎて、あまりにもあけすけだったから・・・


だから逃げたのは・・・私。


ねえ、惣介?・・・どうして私を見て笑ったの?
あなたの瞳に、今の私はどう写ったの?





「ええ~??元カレーーー??」
入江琴子と桔梗幹がほとんど同時に素っ頓狂な声を上げた。


「ちょ、ちょっと2人とも声が大きいわよ!!」
私は慌てて両の手のひらを使って2人の口を塞ぐと誰もいないかあたりを見回した。


ラウンジでのありえない再会からわずか30分後、私と入江琴子、桔梗幹の3人は他のナース達と別れ

て病院前のバス停へ続く鋪道を歩いていた。
日勤の終業時間から少し過ぎた時間だからか、鋪道の前にも後ろにも病院の職員らしき人影は見えず

私はほっと胸を撫で下ろしながらあらためて2人を睨みつけた。


「ご、ごめんなさい・・・」
「あの、くっ熊が一条先生の元カレなんて聞かされて驚かない方がおかしいでしょ??」
素直に謝った入江琴子とは対照的に桔梗幹は興奮しきりに私に文句を言った。


「あーあ!・・・もう会うこともないんだし!やっぱり言わなきゃよかったわ。2人とも絶対誰にも言わない

でよ!!」
私は、つい口を滑らせてしまったことを心の底から後悔しながら言った。


「でもね~」
桔梗幹は、私に睨まれていることなど意に介さぬ様子で、にやりと笑いながら言った。
「あの熊・・・えっと、栖原さんだっけ?・・・一条先生を見ていきなり<随分、髪が伸びたね>だってぇ!
何だか意味深~って思ったら、なるほど元カレだなんて・・・うふふふ」


「ホント!なんだかドキドキしちゃったよね~!・・・ああ、それなのに、まさか入江君が連れて行っちゃう

なんて思わなかったな~」
入江琴子までもが、桔梗幹の言葉に乗って私を冷やかすような視線を向けた。


そう・・・入江琴子が言うように、あの劇的とも言える再会のシーンは、思いもよらず入江直樹の登場で

あっけなく幕が降りてしまった。
私は、傍らの2人が私の”元カレ”の話題で盛り上がっているのを横目に、あらためてあの再会シーン

を思い出していた。




『紗江子?・・・紗江子なのか?・・・』
『そうよ、惣介・・・私よ・・・』


『随分、髪が伸びたね・・・』
惣介は、とても懐かしそうに微笑みながら私を見ていた。


『そう?・・・あなたは相変わらずね・・・みんながあなたのこと熊みたいって言ってるわよ』
私は、動揺を悟られたくなくて、ため息混じりに素っ気ない言葉を返した。
それでも惣介は、私の言葉で初めて回りにいるナース達の視線に気づいたのか『熊はひどいな』と言

いながら照れ笑いを浮かべていた。


―ホント、あの頃と全然変わってなかったわ・・・


あの時、もし入江直樹が現れなかったら、あの後あの場面はどう展開していたのだろう?・・・


『栖原さん。探しましたよ。こんなところにいたんですか?』
入江直樹は、走って来たのか少し息を荒げながら、彼にしては珍しく咎めるような口調で言った。


『あっ、えーと、入江先生でしたっけ?・・・まだ何か?・・・』
惣介は、怪訝な表情を浮かべて入江直樹を振り返った。


突然の入江直樹の登場に、私を含めそこにいた誰もが一瞬にして黙り込み動きを止めた。。
ただ一人、嬉しそうに彼を見つめる入江琴子以外は・・・
しかし、入江直樹は妻のそんな視線には目もくれず、惣介に歩み寄った。
『栖原さん、あなたも怪我をしていますね?』


私は入江直樹の言葉に驚きながら惣介の全身に視線を這わせた・・・すると、左手の袖口から手の甲

に向かって乾いた血が付いているのが目に入った。


『俺は大丈夫です。ほんのかすり傷ですよ・・・』
惣介は、入江直樹に向かって迷惑そうに言うと、すぐに彼に背を向けて私に歩み寄ろうとした。
すると、入江直樹は、いきなり惣介の左の手首をつかむと『これでもですか?』と言いながらシャツの

袖をまくりあげた。


肘より少し下あたりにきつく巻かれた真っ赤な布・・・それが元は白いバンダナが血で赤く染まった物だ

と気づくのにそう時間はかからなかった。
私は息を飲んでそれを見つめた。


『あっ!!・・・つう・・・』
惣介は、入江直樹の手を払いのけると痛そうに顔をしかめた。


『ここは病院で、オレは医者です。怪我をしているとわかっていて見過ごすわけには行きませんね。そ

の様子じゃ最低でも消毒くらいは必要みたいだ』
入江直樹は、顔を背ける惣介に向かって有無も言わさぬ口調で言うと、次に私に顔を向けた。
『一条先生、栖原さんと話があるなら処置が終わってからにしてもらえますか?・・・』


『えっ?・・・私は別に・・・』
私は、突然名指しで声をかけられたことに驚いて入江直樹を見た。
すると、同じように驚いた声で惣介が言った。
『先生って?・・・そうか、今、紗江子はこの病院のカウンセラーなんだね?』


惣介は、私がこんな夕方の病院のラウンジにいたことをどう捉えていたのか・・・
確かに私は白衣を着ていたわけではなく、一緒にいたナース達も皆私服姿でおしゃべりをしていたの

だから、ここが私の職場だと思わなかったとしても不思議はない。


私は、一瞬入江直樹の表情を伺うと、あえて惣介の問いかけには答えずバッグを肩に掛けてナース達

に言葉をかけた。
『入江先生の邪魔をしちゃ悪いわ。私たちはこれで帰りましょう』
そして、惣介に向かってひと言付け加えた。
『ちゃんと治療してもらって。お大事にね・・・』


すると、惣介は急に観念したように入江直樹に向き直ると小さくうなずいた。
私は、去っていく惣介と入江直樹の背中をほんの少し見送った後、固唾をのんで状況を見守っていた

ナース達をもう一度促した。
『ほら、何してるの?行くわよ!』


先に立って出口に向かって歩き出した私を入江琴子たちが慌てて追いかけてくる・・・
そんな時、突然惣介が私を呼ぶ声が聞こえた。
『紗江子!!・・・』


私は、大きく息を吸い込んでから振り返った。
真っ直ぐに続く廊下の先で、惣介がこちらを見ていた。
私は、何も言わずに次の惣介の言葉を待った。
しかし、惣介は一瞬開きかけた口をすぐに閉じて微かに笑うと、またすぐに前を向いて行ってしまった。


―あの時、惣介は何を言おうとしたのかしら?・・・


廊下の端と端では距離がありすぎて、かろうじて微笑んだことはわかっても、その表情から惣介の感情

を読み取ることはできなかった。
そして、ふと思った・・・私は、あの時どんな顔をして惣介を見ていたのだろうかと・・・





「・・・ですか?一条先生!・・・一条先生?」


私は、いきなり肩を叩かれて驚いて顔を上げた。
不意に惣介の面影が消えて、目の前に首を傾げた入江琴子の顔があった。


「ご、ごめん。聞いてなかったわ・・・なに?」
私は、慌てて入江琴子に聞き返した。


「もう!一条先生ったら・・・急に黙り込んじゃって!大丈夫ですか?ホントは栖原さんの怪我のことが

気になってるんじゃないですか?」
入江琴子は、心配げに私を見つめた。


「そうですよ~結構出血してたみたいだし」
桔梗幹も、入江琴子に同調するように言った。


「彼の怪我は入江先生が診てくれてるんだから大丈夫よ・・・それに私は別に気にしてなんかいないわ。

ただ、思いもかけないことだったからちょっとびっくりしちゃっただけよ。もう終わってる人だもの、向こう

だってただ単に懐かしかっただけでしょ」
私は、半分は自分に言い聞かせているのだと自覚しながら二人に向かって答えた。


すると、入江琴子が人差し指を顎に当てながらひとり言のようにつぶやいた。
「そうかな~?」


「何が?・・・」
私は、ドキリとしながら聞き返した。


「どうしてお別れしちゃったのかは知りませんけど~あの栖原さんは、まだ一条先生のことが好きです

よ。きっと!」
入江琴子が、やけにきっぱりと答えた。


―えっ?・・・


「あら?琴子の動物的勘ってやつかしら?・・・」

桔梗幹も茶化しながらも大きくうなずいている。


私は「まさか~!」と笑ってごまかした。

そして、さらに二人の質問攻めに合いそうな気配にひるんでいると、丁度良く私の乗るバスがやって来

てなんとか二人をかわすことができた。


バスは中途半端な時間のせいか空いていたが、私はあえて一番後ろまで行って窓際の席に腰を下ろ

した。
流れていく外の景色をぼんやりと眺めていると、また再会の場面の惣介の笑顔が浮かんだ。




私が切り出した別れだった。
彼の気持ちを踏みにじり、傷つけてしまったと思っていた。


―それなのに、どうしてあんな笑顔で私を見たの?・・・


私は惣介に笑顔を返してはいなかった・・・たぶん。


『栖原さんは、まだ一条先生のことが好きですよ。きっと!』
入江琴子の言った言葉が頭に浮かんだ。


―そうなの?・・・




私はふと思い立って携帯電話を取り出すと、液晶に映し出された時刻がまだ7時なのを確認してから

メールを打った。
こんな風に、自分自身のことで答えが見つからなくなると、私には決まって会いたくなる人がいる・・・


<これから行ってもいいですか?>


返事はすぐに返ってきた。


<いいわよ。まだ仕事してるから事務所に来て>


私は、このまま一人家に帰らなくていいことにほっと胸を撫で下ろすと、窓ガラスに頭をあずけて目を

閉じた。




栖原惣介・・・2年近く前に別れた元恋人。
これまでに何人かの男性と付き合ってきた中で、唯一別れたことをほんの少しだけ後悔した人。
それでも、この先二度と会うことなど・・・少なくとも私から望んで会いに行くことはないと思っていた。
きちんと気持ちの整理もして、すでに過去の恋の思い出になっていたはずだった。


それなのに・・・


まさか、こんな形での再会があるなんて想像もしていなかった。
あまりにもあの頃のままだった彼との偶然の再会に、どうしてもいつものように冷静ではいられなくて、

驚きもし、動揺もした。


でも・・・何よりも一番私を戸惑わせていたのは、そんなことではなかった。

どれほど、認めたくなくても、自分の本当の気持ちは偽れない・・・


それは・・・

彼を見た瞬間からずっと治まらないこの胸の動悸を、私自身が決して不快に思っていないことだった。



                                                      つづく


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


さて、いかがでしたか・・・はてなマーク


この第2話で、やっとプロローグが終わる感じでしょうか・・・

再会の場面の一部始終が明らかになって、いよいよ物語も動き出しますひらめき電球


また、思わせぶりな書き方をしてしまいましたが、一条先生が向かった先がどこか?・・・読者さまには

もうおわかりですよね・・・!?にひひ 


おっと~答えは、第3話まで( ̄b ̄) シーーッ!!ですよ。



次回もどうぞお楽しみに・・・合格



                                                  By キューブ



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