読者の皆さまには、いつも私のお話を楽しみにしてくださいまして、ありがとうございますひらめき電球


さて、冬眠から目覚めてもう大分経ちますが、やっとひとつお話が出来上がりましたので、どうぞ

お読みください。

今回は、ちょっと手慣らしにチビ主観のシリーズ「ぼくのひとりごと」をお届けします・・・ニコニコ



キューブ家の近所ではそろそろ散り始めた桜ですが、あちこちでピンク色の花を咲かせている桜

を見ていてふと思いついたお話です。


どうぞ、お楽しみいただけますように・・・音譜


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


  ~ぼくのひとりごと・・・ ≪お花見デート編≫~


その朝、なんだかママはそわそわしていた。
ん?ちがうな・・・ワクワクしていたと言った方がいいかも・・・
ぼくがママの作ってくれた朝ごはんを食べてソファで寝そべっていると、ママはなぜか小さな声で
ぼくに言ったんだ。
「ねえ、チビ知ってる?・・・」


『なになに?・・・』
ぼくは、頭を持ち上げてママの顔を覗きこんだ。
すると、ママはクスクスと嬉しそうに笑った後やっぱり内緒話のようにぼくの耳元で囁いた。
「今日ね、お兄ちゃんと琴子ちゃんがお花見に行くのよ・・・」


―ああ、そう言えば昨夜琴子ちゃんが直樹くんに一生懸命おねだりしてたっけ。


ぼくは、ママに頭を撫でられながら昨夜のことを思い出していた。


<ねえ、入江君!バス停前の公園の桜見た?>
<知らねー>
<ええ?毎日通ってるのに見てないの~?今ちょうど満開ですごく綺麗なんだよ~!明日お休み

でしょ?一緒にお花見に行こうよ!>
<行かねーよ、そんなの>
<ええ!~行こうよ~!ねえ~行こう!!>


まあ、この後の攻防は僕の予想通り、琴子ちゃんの粘り勝ち。
直樹くんは、渋々行くことを承知して、琴子ちゃんは満面の笑みを浮かべていたっけ。


「それでねチビ!・・・」
昨日の琴子ちゃんの嬉しそうな顔を思い浮かべていたぼくをママが呼んだ。
そして、ぼくがちょっと首を傾げてママの顔を見ると、なんだかいたずらっ子のような顔をしてママ

が言ったんだ。
「私、いいことを思いついたの!」


『えっ?・・・いいことって何?』


なにがなんだかさっぱりわからないけど、まるでスキップをするようにキッチンに入って行くママの

後ろ姿は、本当に楽しげだった。




お昼の少し前になって、相変わらず渋い顔の直樹くんと、弾むように上機嫌の琴子ちゃんが出か

けていった。
あまりにも対照的な表情の2人を玄関で見送って、ママはまたすぐにキッチンに戻って行った。
もしかしたらぼくも連れて行ってくれるかなとも思ったけど、せっかくの久しぶりのデートだからね

遠慮しておいたんだ。


―これでも結構気を使ってるんだよ。


ところが2人が出かけて30分もしない内に、今度はママが出かける支度をしてぼくの顔を覗きこ

んだ。


―ん?・・・


「さあ、チビ!私たちもお花見に行きましょう」


『えっ?・・・』
ぼくがびっくりして立ち上がると、ママはすぐにぼくにリードをつけて外に出た。


ママは片手にぼくのリードを持ち、もう片方の手にはちょっと小ぶりなバスケットを持っていた。
ぼくは、ふとそのバスケットを見て、前にその中からママの作った美味しいお弁当が出て来たこと

を思い出していた。


―なるほど・・・ママの思いついたいいことって、もしかしたら・・・


ぼくは、ぼくの考えがまず間違いないと確信しながら鼻歌まじりに歩くママに付いて行った。


公園の近くまで来ると、大きな桜の木が満開に花をつけているのが見えた。
ぽかぽかと暖かい昼下がり、春の香りはたとえぼくが犬であっても、なんとなく気持ちをワクワク

させてくれる。
そして、公園の入口の前まで来ると公園の奥の桜の木の下で並んでベンチに座っている2人の

姿が見えた。


『ほらママ!、直樹くんと琴子ちゃんがいるよ!・・・うぐぐ!』
2人を見つけて吠えようとすると、ママが慌ててぼくの口を押さえたから驚いた。


「チビ、吠えちゃだめよ。」
ママは、唇に指を当てて「しー」と言うと、公園の垣根に隠れるように身を低くした。
そして、朝の内緒話のようにぼくの耳に囁いた。
「ここからはチビの出番よ!」


―えっ?なになに?


「いいチビ?よく聞いて」


ぼくはママの言うことに耳を澄ませた。





ぼくは、ママが持っていたバスケットをくわえて公園の中に入って行った。
ちょっと重かったけど、バスケットの中からはとってもいい匂いがした。


<私はここで帰るから、このお弁当をお兄ちゃん達に届けてほしいの。もちろんチビの分もちゃ

んと入ってるからね>


公園の入り口でママはぼくにそう言ってウィンクをして見せた。
そして、垣根の端からそっとカメラを構えると、桜を見上げている2人の写真を撮って満足げに

帰って行った。



「あっ!・・・えっ?・・・チビ??」


それまで桜を見上げていた琴子ちゃんがぼくを見つけて驚いた声を上げた。
ぼくは、バスケットで口を塞がれて吠えて答えることが出来ないから、急いで2人の前に向かった。


「どうしたチビ?・・・なんだそのバスケットは?・・・」
やっと2人の前に到着して、直樹くんの膝の上にバスケットを置くと、ぼくは2人の前に座った。


『2人のお弁当だよ!ママから預かったんだ!』


「きゃあ、入江君!サンドウィッチと水筒が入ってる!・・・お義母さんね、きっと。帰っちゃったの

かしら」
琴子ちゃんは、感嘆の声を上げながら、あたりをキョロキョロと見回した。


「まったく・・・普通に持ってくればいいのに、チビにこんな重いものくわえさせて・・・なぁ、チビ!重

かったろ?」
直樹くんは、いつのも如く呆れたように言うとぼくの頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。


『ぼくは全然大丈夫だったよ。それにぼくもお花見に来られて嬉しい』
ぼくは、2人のことを見上げながら思いっきり尻尾を振って嬉しさをあらわした。


「美味しそう~せっかくだから食べよ!・・・ほら、チビの分もあるよ。」
琴子ちゃんが、水筒のコーヒーとサンドウィッチを直樹くんに渡したあと、ぼくの分をお皿にのせ

て地面に置いてくれた。


「なんだって、こんなところで弁当食わなきゃならないんだ・・・」
直樹くんがため息まじりにつぶやく。


「そんなことないよ~ピクニックみたいで楽しいじゃない?・・・帰ったらお義母さんにうんとお礼

を言わなくちゃ!」
琴子ちゃんも、同じように片手にコーヒー、片手にサンドウィッチを持ってはしゃいだように言った。


ぼくはママの作ってくれたサンドウィッチをあっという間に平らげて、直樹くんと琴子ちゃんのこと

を見ていた。
なんだかんだと言いながらも直樹くんも美味しそうにサンドウィッチを食べている。
琴子ちゃんは、それはそれは幸せそうに「美味しいね」を連発していた。


―あーあ、琴子ちゃんったらほっぺにお弁当付けてる・・・


ぼくは、琴子ちゃんのほっぺにパンの小さな欠片が付いているのに気付いて、じっとそこを見て

いた。
するとぼくの視線に気付いた琴子ちゃんが、不思議そうにぼくに聞いた。
「ん?チビ、なーに?・・・もっと食べたいの?・・・」


『違うよ~ほっぺ、ほっぺ!』
ぼくは心外だと言わんばかりに琴子ちゃんに向かって訴えた。


「ああ、琴子!お前がっついてるからほっぺたにパンくずがついてるよ」
直樹くんが、琴子ちゃんの顔を見て笑いながら言った。


「えっ?ええ~取って!両手が塞がってて取れない~!」
琴子ちゃんが慌てて舌を伸ばしたり、肘で拭こうとしながら言った。


「オレだって、両手が塞がってるよ」
直樹くんは半分からかうように笑いながら答えた。


でも・・・


―コーヒーかサンドウィッチを下におけばいいと思うけど・・・


呆れながらぼくがそう思った時・・・ちょっとびっくりすることが起こった。
だって、直樹くんが、琴子ちゃんのほっぺに素早くキスをしたんだよ。


「えっ?・・・」
琴子ちゃんが、びっくりして直樹くんの顔をみた。
すると直樹くんは、平然とサンドウィッチにかぶりつきながら「もう取れたよ」と言ったんだ。


―あーあ、今ここにママがいたら絶好のシャッターチャンスだったのにな・・・


ぼくは、なんだか照れくさくて2人に背中を向けながら思っていた。
でもね、次の瞬間ぼくはまたびっくりするようなものを見つけちゃったんだ・・・
『あっ!・・・あれは・・・』


「どうしたチビ?・・・」
思わず勢いよく吠えてしまったぼくに直樹くんが声をかけた。


『ううん、なんでもない!』
ぼくは、慌てて直樹くんの方に向き直ると、尻尾を振ったり手をなめたりして誤魔化した。


「なんだよ、急に甘えたりして変な奴・・・」
直樹くんは、ちょっと不思議そうにしていたけど、すぐにぼくの頭を撫でてくれてそれ以上は何も

言わなかった。
そして、直樹くんの「さあ、帰るぞ」という言葉に、ぼくと琴子ちゃんは立ち上がった。


ママがちゃんとバスケットの中に入れておいてくれたリードをつけてもらって家に帰る途中、ぼく

は思っていた。


―ママ、もう家に着いたかな・・・


ぼくは、ママが大喜びで家に帰って行く姿を想像して、思わず笑いが込み上げた。

やっぱり家のママは最高さ・・・


だって、ぼくはさっき確かに見たんだ。
ぼくたちの丁度正面の垣根の向こうに、レンズがキラリと光るのをね・・・  


                                             チビ@小可愛




                                            END


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


さて、いかがでしたか・・・はてなマーク

大分、シナリオチックなお話になりましたが、チビの視線による入江家らしさを感じていただけまし

たら幸いですビックリマーク



ただ、これで完全復活宣言とは行きそうもないので、どうぞお許しください。

いまだに続く余震や、原発事故、電力不足、そして被災にあった友人のことなど思うと、なかなか

本腰を入れて記事をアップしたり、執筆活動を始める気持ちになれないと言うのが本当のところ

です。


ボチボチで、がんばっていますので、どうぞあたたかく見守っていただけたら嬉しいですひらめき電球



・・・ということで、次回もどうぞお楽しみに・・・音譜



                                                  By キューブ



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