読者の皆さまには、いつも私のお話を楽しみにしてくださいまして、ありがとうございますひらめき電球


さて、朝アップした前編に続く「Only One Chocolate」の後編ができあがりましたので、どうぞお読

み下さい。

もう、今日に間に合わないかと思いましたが、なんとか滑り込みセーフってことで(´▽`) ホッとし

ました合格



もったいつけた分、納得の後編となっていますかどうか・・・


どうかお楽しみいただけますように・・・音譜



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  バレンタインデー・スペシャル

  ~Only One Chocolate -後編-~



「いた~い・・・」
私は、ぶつけた頭を擦りながらデスクの下から出て立ち上がった。
入江君は、デスクの反対側に立って、私を呆れ顔で見ていた。
「まったく・・・そんなところに隠れて何やってんだよ・・・」


「私がいること、いつから知ってたの?・・・」
私は、恐る恐る聞いた。


「ドアを開けた瞬間から・・・」
「えっ?・・・」

「鍵が開いてたろ!・・・」

「あっ!・・・」


―・・・ってことは最初から?・・・


私は、ナース服のポケットの上から中に入っている鍵をひと撫ですると、言い訳もなくただ苦笑い

を浮かべた。
すると、入江君は大きなため息をついた後、ちょっとだけ笑って私の顔を見た。


―どうしよう・・・私、入江君に聞きたいことがいっぱいある・・・聞いてもいいのかな・・・


ところが、私が迷っている間に入江君がまるで私の気持ちを悟ったように話し始めた。
「さっき、来てた人はこの近くの施設の園長先生なんだ・・・その施設の子供に病気がちの子がい

て何度かオレが外来で診察したのがきっかけで知り合った・・・」


「うん・・・」
私は、時々相槌を打ちながら入江君の告白を聞いていた。


「チョコレートだって直接渡そうとされれば断ることもできるけど、ロッカーの中やドアノブに勝手に

掛けてあるものはどうしようもない。だからと言って捨てるわけにも行かず、どうしようかと思ってい

た時に、あの施設の子供を外来で診た時のことを思い出したんだ」
入江君はそこまで言うと、しばらく何かを思い出すように遠い目をして考えた後、その時のことを

話してくれた。


いつだったか、入江君がその施設の子供を診察している時に、たまたまカルテの横にナースがく

れたクッキーの包みが置いてあった。
それをその子供がじっと見ていたから、入江君は軽い気持ちでクッキーを上げた。
すると、その子供は本当に喜んで、それを食べていた。

その時に、付き添いで来ていた園長先生にその施設のことを聞いたと・・・


「だからオレは、あのたくさんのチョコレートをその施設に持って行くようになったんだよ・・・」
入江君は、私の表情をうかがうように少し首をかしげながら、私の返事を待っているようだった。


―入江君の言うこともわかる・・・でも・・・


「で、でも・・・あのチョコレートを渡した人たちは、入江君にあげたつもりのチョコを他の人が食べ

ることをどう思うのかな・・・入江君が受け取ってくれたと思ってるのに、なんだか可愛そうな気がす

るな・・・」
私は、もし私の渡したチョコレートを、誰かほかの人にあげられてしまったらどうだろうと考えていた。
そして、それはとっても悲しいことだと思っていた。
すると入江君は、ふっと笑いながら横に立つ私を見ると、すぐに前に向き直ってポツリと言った。
「じゃあ、全部いらないからと付き返しに行った方がよかったか?・・・」


「えっ?・・・」
私は、その少し切ない言い方に一瞬答えることができなかった。
たとえ一方的な思いとはいえ、一度は相手の手に渡ったと思ったチョコを当の本人が「いらない」

と言って返しに来たらどうだろう・・・


「そ、それはもっと悲しい・・・」
私は、小さな声で答えた。
すると入江君はクスリと笑って”だろう?”というように私を見た。


「それに、いつかこのことが自然とみんなに広まって行けばいいとオレは思ってる・・・」
入江君が言った。


「ええ?・・・でも、そうしたら怒る子だって出てくるかもしれないじゃない・・・」
私が慌てて言うと、それに被せるように入江君は「構わない!」ときっぱりと答えた。
「それで怒った奴は次からはもう持ってこない・・・それでいいんだ。元々貰ういわれのないチョコ

レートなんだから」
入江君はそう言って微笑むと、小さな声でさらに言葉を続けた。
「面と向かって無下に傷つけることはよくない・・・って、お前をずっと見てきて学んだからさ・・・」
入江君は、そう言って少し照れたように笑った。


私は、なんだか胸がいっぱいになって涙が出そうになっていた。
終始穏やかに、それでいてとても真摯に私に向かって話をしてくれる入江君をずっとドキドキしな

がら見つめていた。
するとそんな私を見て、入江君が急ににやりとしながら言った。
「それに・・・」


「ん?・・・」


「オレは、毎年お前が作ったヘンテコなチョコのケーキを食べなきゃならないからな・・・」


「ええ~!ヘンテコってヒドイ~!」


でも・・・私はそうやって入江君に文句を言いながらも、本当に懸命に涙を堪えていた。
いつでも入江君しか見えていない自分が恥ずかしく思えた。
いつでもいろんなことを考えて、たくさんの人の幸せを思っている入江君の優しさがなんだか胸

に痛かった。



「ヘンテコをヘンテコって言って何が悪いんだよ・・・」
入江君が私をからかって笑っている・・・


「一生懸命作ってるのに、ヘンテコなんて言わないでよ~」
私は、食ってかかる振りをして入江君に近づくと、座っている入江君に覆いかぶさるようにしてその

頭をそっと抱きしめた。
入江君は抵抗もせず、私の胸に額を押しつけながらが言った。
「今年のヘンテコは去年よりは少しはマシか?・・・」


私は、頬を膨らませながら答える・・・
「もう、まだそんなこと言ってる・・・家に帰ったら試してみて・・・結構頑張ったんだから!」


―でも、本当は今、入江君に伝えたい・・・


私は入江君の頭を離すと、私を見上げた入江君の頬を両手で包むようにしてその瞳をじっと見つ

めた。


―今私に贈れるものは・・・


バレンタインデーに想いを込めて、私は入江君の唇にそっと自分の唇を重ねた。
今年も大好きだと・・・
去年よりも大好きだと・・・
きっとずっとずっと大好きだと・・・


目を閉じた瞼の裏に、たくさんの子供たちがチョコレートを頬張る顔が浮かんだ。
入江君が運ぶ幸せにほころぶ子供たちの笑顔を思うと、自然と涙が溢れた。


そして、私はその時気づいていた・・・
入江君がこの世でたったひとつだけ受け取るバレンタインの贈り物は、私が作ったヘンテコなケー

キだけなんだということに。


それは、当たり前のことかもしれないけど・・・

私の想いだけを、入江君が受けとめてくれているということに。


                                                END


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

さて・・・いかがだったでしょうか・・・はてなマーク


ちょっとラブラブ度が少なかったですか・・・はてなマーク( ̄∇ ̄*)ゞエヘヘ

でも、もしかしたらお気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、琴子から直樹へのキスってドラ

マ本編でもなかなかないんですよね~ひらめき電球

それだけ、直樹に対してはいつでも受身の琴子が、今回はバレンタインデーということもあって、

ちょっと積極的な行動をしてくれました。


そして、賛否両論かも・・・と思ったエピソードですが、納得していただけたでしょうか・・・

前編のコメントにもありましたが、直樹はもしかしたら昔はもらったチョコを捨てちゃってたかもしれ

ませんよね・・・


でも、今は違う・・・それは琴子の自分へ向けられる恋を見てきて学んだというところが、今回の

お話の見せ場かなって思います。

だからこそ、その延長として施設の子供たちに自分のもらったチョコレートを寄付するという考えも

浮かんだんでしょうから・・・



そして、前編のコメ欄には、私へのお祝いの言葉もいただきましてありがとうございます合格

またあらためて記事の中でお礼を申し上げるつもりでいますので、ぜひ読んでやってくださいね。



では、次回もどうぞお楽しみにひらめき電球



                                              By キューブ





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