ひとつひとつ春のはじまりにゆっくりと姿を見せる木の芽や、風の吹いた時に出来る砂の渦や、歌い出す瞬間の彼女の照れた笑顔や、蝋燭の灯りがゆらゆらと揺れる向こう側に見える硝子戸や、真っ暗なビル街や、砂浜の海鳥の足跡が秩序正しくならんでいる様や、グラスをゆっくりと満たしていく水の影や、そんなひとつひとつに名前を付けて、そんなひとつひとつのことを大切に表現したい。