そういえばあの朝に見た黄金色の太陽は
今は星の裏側で次の季節の訪れを待っているらしい。
1番大好きだったあの言葉と旋律の歌い方を忘れてしまった。
思い出せないということはそもそも初めから無かったものなのか。
風が連れて来る星の裏側の匂いや嵐の日に聴こえる遠鳴きや
無数の光が見せる美しい世界もまた星の裏側で時の訪れを待っている。
今日はご飯が美味しく炊けたから少しだけ心が落ち着いた。
炊きたての湯気の匂いが甘く薫る。
日々の些事が煩わしく無いのはまだ気持ちに余裕があるからだと思う。
だいじょうぶだよ、
季節が巡る度に彼等もまた歳を重ね、いづれは皆同じ処に辿り着くというのに
何故そんなにも急がなければならないのか。
先延ばしにする事と急ぐ事は対では無く、
私達は一瞬という永遠に最大級の愛を見出し、
やがて黄金色の太陽がまた巡る頃に日の出の歌を歌うのだ。
見るもの全てに新しい名前を授ける様に。