青と白がせめぎあう看板
赤いラインが行く先を示して
電車は矢印の向かう方へただ走る
目覚めたばかりの視線の先には小さくひとつに交わっていく二本の架線と何処までも続く青空
銀色の電車はゆっくりと速度を落として目の前の黄色いラインと並んだ
黒や茶色や灰色の服を着た人々の中で一際目に付くのは彼女のかぶるラビットファーらしきベレー帽子
耳は全く隠れていなくて寒そうだ
赤いシートに並んだ恋人
彼女はもう此処にはいない
影は今までに無いくらいの鮮やかな色でその存在を主張している
誰にも気付かれないように反対側で蜂鳥が鳴く
また赤いラインは銀色の電車にうつり黄色いラインと並んだ
抑揚なく続くレールのリズムとすれ違う電車のポリリズム