夜、帰ろうと思ったら雨が降っていた。
傘をもらって駅に向かう。
なんだか早く帰りたかったのでいつもは乗らない電車に乗る。
電車の中ではみんな傘を持っている。
みんな準備がいいなぁ。
最寄り駅に着く。ホームから改札に向かい、咲き出す傘、傘、かさ。
ビニール傘を広げて私も改札を出る。
商店街を流れて行くたくさんの傘。
その中でひとり濡れぼそった女の子がいた。
みんな足早に家路をたどる。その女の子には誰も気付かないのか。
つい見かねて傘を差し出してしまった。
「うち、すぐそこだから、あげるよ」
女の子は遠慮しながらも受け取ってくれた。嬉しい!
家まで走れば3分。
その女の子の後ろ姿を見送ってから家に向かって走り出す。
スキップまじりで駆けていると、
雨がやんだ。
空はなんでも見てるのね。
家に帰ってベランダを見たら、また雨が降りだしていた。
空はなんでも見てるのね。