9月9日。秋の旅も2週目に突入。揚州からの生中継後、再び出発。揚州(ようしゅう)から、海安県(かいあんけん)へ向かうルート。
13:41発の列車。2004年に南京と啓東を結ぶ路線で車内サービスにも力を入れているらしい。
まずは車内販売にてコーヒーを注文したせっきー。さすがコーヒー好き。それにしても中国ではほとんどがお茶という中、珍しい。
そして注文を受けたお姉さんはコーヒーの濃さを尋ねてる。ちょっとした気配りが嬉しい。せっきーは中国語を混ぜて「イーディエン(少し)濃い目で。」とお願いする。
コーヒーから立ち込める湯気がつかの間の安らぎを与えているようだ。
そのうち寝具工場で働いているというおばさんに話しかけた。もしかしたらおばさんが作っている寝具が日本で売られていて、使用しているのかもね。なんていう会話をコーヒー片手に和やかに楽しんでいた。
現在旅している江蘇省は中国を代表する繭の産地。年々、繭の生産量が増加しているそうだ。列車は繭を作り出す蚕の餌となる桑畑の中を走っていく。
16:00、本日の目的地 海安県に到着。人口95万、養蚕が盛んな街である。
早速、桑畑が広がるのどかな場所を歩くせっきー。一軒の農家を尋ねてみた。
農家の主人に声をかけると気前よく飼育している蚕を見せてくれた。棚にたくさんの蚕がうごめいている…
イメージでは蚕が逃げないように囲っている感じだと思ったが、そうではなかった。ただの棚に蚕が広がっていた。
「落ちたり、逃げ出したりしないのか?」という疑問に主人は「蚕は葉っぱの所に寄ってくるから(大丈夫)。」ということで納得。
とにかく棚には、うじゃうじゃと白い蚕がたくさんいた。せっきーはその棚の桑の葉を一枚取り上げた。
「アイヤ~」
驚きの声を発するほど蚕がびっしり。そしてしっかりと桑の葉をくわえ、落ちなかった。
この蚕たちはあと2週間ほどすると繭を作り始めるそうだ。いっぱい桑の葉を食べ、命を引き換えにきれいな繭を作り出していく。
気がつけば近所の農家の子供たちがたくさん集まっていた。中にはお尻に穴が開いたズボンを履いた幼い子供の姿も。ご機嫌に踊ったり回ったりして、みな笑いを誘っていた。せっきーは「君は中国のスターだ。」なんて褒めた直後、突然しゃがみだす… まさか!!と思った瞬間。
用をタシテシマイマシタ(^_^;)
もう周りは大爆笑。なんとのどかな夕暮れなんでしょう。
汗をふきふきするせっきーに日本語で数字を読み上げる女の子がひとり。
「いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、じゅう。」
え、じゅう??? とビックリするせっきー。
もう一度飛ばした9を入れ、無事に数字の読み上げが終わった。
その女の子と一緒に桑の葉の収穫をお手伝いするせっきー。一枚一枚丁寧に取る。
しかし女の子は「小さい蚕にあげるから若いやわらかいのを選んで。」と指導が入る。せっきーが摘んだのはちょっと硬すぎるようだ。選び方が難しい。
収穫後、蚕に与えるため、細かく桑の葉を刻む。生まれて3日の小さな蚕に取り立ての桑の葉を与えるせっきー。汗、ダクダク。飼育小屋の中は蚕の生育のため、暖房が入っている。また朝昼晩と日に3回、桑の葉を与えるそうだ。
ようやくお手伝いが終了し、飼育小屋から外に出るせっきーだが、あまりの小屋の暑さにヘトヘト。
「蚕には天国でもオレには地獄の暑さ。」
といいながら座り込む。かなり応えた様子。
女の子に「暑くないの?」と尋ねると、「慣れてるもん!」と涼やかな顔で返され、恐れ入りました。
陽も暮れ始めた中、お礼を言い、農家を後にしたのだった。
明日は淮安に立ち寄り、徐州まで移動となる。