2007年7月29日 曇り
いよいよ大室山ライブ第一幕の始まり。
開会宣言ということで、まずモンゴルからボランティアとして、わざわざ参加してくれた女性が民族の歌を遠くの岩の上から歌う。
もちろんマイクなど無い。
風に乗って響き渡る歌声は、ものすごく鮮明だったし、モンゴルの曲なのに大室山の景色になじんでいた。
そして改めて始めるに当たり、せっきーはひとつのひょうたんを持ち出した。
ひょうたんは日本の鉄道を旅しているときに知り合った仁摩のおばあちゃまの形見というとても大事なもの。
またも不思議な縁で、今ここにこのひょうたんがあることを話してくれた。
そのひょうたんの中には、伊東の山(通称・ゲンコツ山というらしい)の湧き水が入っているのだという。
それを撒いて、この場をまずお清めをしたいのだと。
ボランティアのたかのちゃんとともに水を撒くせっきー。
飛び跳ねながら撒く姿は活き活きしていた。もちろん自分にも降りかけていましたが(笑)
私のところには、たかのちゃんがやってきて、
ぷわっ!!
と、ひょうたんから水を撒いてくれた。(たかのちゃんのひょうたんはたかのちゃん自身が作られたそうな。)
とても冷たい水の感触。なんだか嬉しくなった。
それから再び、せっきーのお話が始まった。
ライブということなので、最初は曲がたくさん流れたり、歌を歌ってくれたりするのかな?
と思っていただが、せっきーワールド全開に(^▽^;) たくさん話が続いていった。
でも私は、こういうライブも大歓迎だったので、片意地張らずに自然と話の中に入り込めた。
NHKの番組を始めて、毎年大室山ライブの参加者人数が増え、NHKに感謝してるとか。
作曲するきっかけとなった中学生時代話とか、お母さま(西田佐知子さん)には「もう一切、ボクにはお稽古事や指導はしてくれるな。プロに教わればうまくて当たり前なのだから」という自論で、ここまできたこととか、自分には絶対音感が無いから、けっして作曲するには向いていないのだけれど、こうして曲ができてしまうのだとか、いろいろと暑い中、話していた。
空模様も時おり太陽が見え隠れする、ちょうど良い感じになった。
草の上は柔らかく、山肌からは風がそよぎ、空からも大地からも祝福?されているようだった。
そしてようやく一曲目の曲が流れた。
持ち込んでいたPC(Mac)より操作され、スピーカーから流れ出した。
水の旅人
という曲である。以前から参加しているファンの方や番組を見ていた方にはお馴染みらしい。
昨年披露しなかったということで、今年、流すことにしたらしい。
初めて聞く曲であったが、せっきーの自然体な感じが作り出すゆったりとした曲だった。
空の青や山の緑にとても似合っていた。
再びお話に入る。
ここで用意されたフリップが出された。
多分せっきー直筆であろう、円グラフのようなもの。
そこには自力100%と他力100%と書かれていて、それを持ち出してのお話となった。
いつどんなときでも自力を100%出し切ることの大事さや、自力ありて他力がある… といった自論に深く共感した。
自力を常に出し切っていれば、おのずと他力が後押ししてくれたり、やれないとお持っていたことや出来ないと思っていたことが出来てしまうこと。その不思議さがあるということ。
人間できないことは無くて、誰にでもやれるスイッチは持っていてて、それがちっちゃいスイッチであろうが、ポチッと自分自身で押すだけで、あとは自力100%で望んでいれば、自然と仲間が増えたり、助けてもらったり、縁というもので繋がってくる。
そこで初めて他力が加わって、いつか出来てしまうものだと。
時間が無いからできないとか、私には出来ないからとか言うのではなく、まず自分のスイッチを、起爆剤を押しなさいと訴えていた。
私自身もいつもウジウジ悩んでいたし、鬱という病気も抱え、しんどかった。
生きている感じが無くて、とても辛かった。
そんな思い気持ちがウソのように開けた瞬間だった気がする。
言葉の力はすごいと思った。
またせっきー自身が体感、実感してきたことだから重みが違う。
けっして押し付けではなく、心に染み入る言葉で話してくれる姿はまるで悟りを開いた行僧のようにも見えた…かも(;^_^A
次に流れた曲はヨーロッパ旅で作った曲、「あの太陽は知っている」。
スペイン語の歌詞が入っているエキゾチックなものだった。
この曲を作るに当たってもいつの間にか他力が加わり、スペイン語も日本語もネイティブな男の子との出会いで出来上がったとか。
これもまた大室山マジックというのか、日本らしいう曲ではないのに、大室山に溶け込んでしまうものだった。
この曲は目をつぶり、じっくりと『無』になったつもりで聞いた。
お話が再開。
人はなかなか変わるものじゃないよ。変えられないって!というような話題なんていうものもあった。
あと、たかのちゃんの話題や今回の衣装の話、中国の旅の話題があった。
確かこの辺で、第二部に突入した記憶がある。
別段、ガラッと話題が変わるとか趣旨が変わるとか言う区切りではないが、一応、一部二部と分けたみたい。
その中で、中国で入っている間の2ヶ月間、ずっとお腹を壊していたそう( ̄□ ̄;)
(段ボール入り○まんを食べたかもとブラックジョークもあった(爆))
中国旅へ入る前に、地球サポーターで8月上旬になぜか中国に取材に出なくてはならないことや、再び8月末に鉄道旅で中国入りする多忙さなこと。
本の執筆もあったり、とてもとても忙しいことなどを話していた。
また今回のライブタイトルである、『未生』にも触れ、なぜこのタイトルにしたのかという経緯や意味を話してくれた。
未生(みしょう)とは、心の中でやりたいと思っている種のようなもの。
まだ実から芽が少し出たくらいの実の事を『実生』ともいい、それと重なっている部分もあるらしい。
もしやりたいことがあれば、ぜひやって欲しい。未生の身を咲かせて欲しいような話。
そして来年、披露できたらいいね。教えてもらいたいな。ということ。
なかなか思っていてもできないことたくさんある。
全部いっぺんにやら無くてもいいから、少しずつでも心の中にある未生の種を育てたいと思う。
せっきーもそれがいいたいのだと思った。
そして最後の曲、中国で作った、
零/Ling(リン)
が流れた。
それはそれは雄大で、抱かれているようだった。(誰に?(笑))
じっと目をつぶり、静かに耳を傾けると再び自我か無くなり、『無』になった自分がいた。
鳥のさえずり、吹き抜ける風の音、照らす太陽。
どれも必然で、今ここに絶対あるべき大事なもの。
せっきーがずっと言っていた、
「水は、けっしておごらない。癒してあけたでしょ?とかすごいでしょ?なんて、これっぽっちも思わずに自然に人の心を癒してくれる。すごい!」
私もそう思う。
せっきーと同じく、昔から水のある風景や場所が大好きな私は、同じ思いがあることを改めて嬉しく思った。
曲が終わるとき、なんだかここ数ヶ月、いや一年かな…
ずっと抱えてきた思い気持ちやこだわりがフッと、無くなった感じがした。
もちろん鬱が完治することは無いが、鬱特有のマイナス思考や落ち込み感が少なくなった。
自分で頭で思っていたことをどうしても肯定できずにいたし、信じられない自分がいた。
信じることが怖かった。
何も価値が無い人間と思っていたし、やれないんだと思って悲観していた。
ただの弱虫なのかもしれないが、きっかけが掴めずに、ずっとうずくまっていた自分がいたのは確かだった。
それが最後の曲が終わるとき、力が抜け、涙こそは出なかったが心に響く、打たれる衝撃が走った。
全身全霊で挑んでくれたせっきー。
私もいつの間にかそのパワーに触れ、全身全霊で体感できたと思う。
そして無事にライブが終了。時計の針は15時半近くを指していた。
自然解散という、これまた不思議な終わり方で、バラバラと参加者が再び山頂へ向けて歩き出す。
私は少しのんびりしてからと思い、再度、腰を下ろしスケッチブックを引っ張り出して、エンピツでスケッチを楽しんだ。
(色つけるとヘタッピなので、下書きのまま放置(;´▽`A)
この一瞬を忘れないために大室山をスケッチした。
せっきーやマネージャーさん、そしてボランティアさんたちが片づけを始める。
一部のファンのみなさんがせっきーの周りで楽しそうにしている。
手紙を渡す人、眺める人…
そろそろそのみなさんたちも火口を離れるようなので、私もその場を離れることにした。
みなより一足先に山頂へ向かうせっきー。
その途中にある岩に乗り、何かし始めた。
お清めで使ったひょうたんを取り出し、残っていた水を撒き始めた。
「無事にライブが終わり、ありがとうございました。また来年もここでライブが出来ますように~~~」
と、唱えながら水を撒いた。
その姿、今でも脳裏に残っている。
大室山ライブをとても大事にしていることや、自然に感謝していること、本当に飾らない人なんだなと思った。
せっきーに続き、次々に山頂へ向かう人々。
しかし… 行きはヨイヨイ、帰りはなんとか(=◇=;)
思ったより帰りの登りはキツかった…
もう膝ガクガク、心臓バクバク!!!!!
死ぬかと思いました(爆)
普段の運動不足が恥ずかしい。
なんとか休憩を取りつつ、登り切り、ベンチで一呼吸。
だはぁ~っ
15分ほど休み、リフトに乗る列も少なくなったので下ることにした。
本当は山頂をグルッと歩きたかったのだが、断念。
下りのリフトから見える伊東の海は霞んでいて見えなかったけれど、すごく気持ちが良かった。
ライブはあっという間に終わってしまったけれど、ちっとも寂しくなかった。
むしろ、ワクワクする気持ちがしてきた。
来年またこの大室山に戻ってこられる時がきたら、絶対に今と違う自分でありたいと思った。
自分の力、自力を100%出し、せっきーとまた会えたらと。
何か変えたい、変えなくちゃと思うきっかけを作ってくれたせっきーに恥ずかしくないような姿で、この大室山に来年戻って来たいと誓った。
流れた曲はたった3曲だったけれど(本当はもっと聞きたかったが…)、たくさん話してくれたものは心にずっと残っていく。
そしてこれからもせっきーが頑張っている姿を応援したいし、自分も応えるように頑張りたい。
素敵なときを本当にありがとう。
その後、肩の荷が下りた感じの軽い私は、クルマを走らせ、伊東の町をドライブした。
この日の海も山も絶対に忘れない。
零…
この日をスタートラインとして、新たに歩もうと思う。
せっきーもまた零になって、また来年ここ(大室山)に戻って来たいと話していたし。
本当に参加して良かった。
この機会と、自分の運命に感謝。
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