就職 | 道標を探して

道標を探して

 ただ、そこに進んでみたい道がある。
 仰いで見たい空がある。
 踏んでみたい土がある。
 嗅いで見たい風がある。
 会ってみたい、人がいる。





話聞いてるとさ


将来必ずしなきゃいけないなんてことはわかっててもやっぱり嫌なんだよね。




――近所のあの人が自殺した原因




――ついに孤独死した中卒で親からも勘当されたあいつ




――近所の兄さんがストレスで胃潰瘍




――あの姉ちゃんは引きこもり






本当に就きたい仕事につけるのはほんの一握り。




精神的に弱い人は潰れ、腐り、死ぬ。




そんなことを思うと社会になんか一生出て行きたくないって思うのが道理だよね。




学校でもあれだけ辛いのに、家でも気を張らなきゃいけないのに


歳をとって、然るべき年齢になったとたんもっと辛いところに行けと?




僕たちのいるここは地獄の門前ですか?




一昔前のおっさんらはこういうだろう。というか、言ったおっさんがいた。




 「甘ったれてんじゃねえ」と




ならば




ならばお前ら俺たちのような生活を送ってみろ。




心の奥底から信用できる友人は近くにおらず、癒しの道具だと思っているそれは、


ただの傷の深さを確認するための虫眼鏡。




家に帰ってきてただいま、母から


――遊んでる暇があるならさっさと勉強しなさい。




父は不在




自分の部屋にいけど別段相手をしてくれる相手がいるわけでもない。




平日の食事は冷たい。






出来上がったのは、気が狂う一歩手前の、不意に触れば痙攣するような子供。




大人の世界にも、今の自分にも自身を持てなくなった子供。




皆の前で親の話をする気にならない子供。




制約が多すぎて彼氏彼女なんて作る余裕すら消えた子供。






責任転嫁じゃない


お前等のせいだぞ


お前ら大人がこんな社会を作り出したんだ。




子供たちがとか言ってないでなんとかしろ。








一言


はらいて