お気に入りの場所
「在宅緩和ケア」 ということばを 聞いた事があるでしょうか?
胃がんの終末期で、在宅で過ごされている方を 訪問看護 している。
初めて訪問した日、座布団3枚を並べた上に横になっていた。
庭が見渡せる、この居間の窓際がお気に入りの場所だそうだ
同居しているご家族は、どうしていいか分からずとても不安そう ・・
「食事がほとんど摂れないんです。でも、なんとかトイレだけは壁を伝って
行ってるんです」
おそらく口から入っている水分や わずかな食物から得られる全エネルギー
を トイレの往復に使っている、と思った
「すぐにケアマネージャさんに連絡して、ここにベッドを置きましょう。褥瘡が
出来かけているので、エアマットレスも一緒に頼んでください。トイレの往復は
おそらく難しい状態なので、本人の気持ちを聞きながらポータブルトイレを使う
方向で考えましょう。今すぐに連絡をとって、手続きを進めてください」
もう自分で動くことがとても辛そうなので、オムツを使用するのも時間の問題
だと思われた
当日か翌日にはベッドを入れてくれると思っていたが、結局1週間もかかって
ようやくベッドが入ったようだ。こういう時の動きのスピードで、ケアマネの手腕
が問われるように思う。療養者さんの病状に直結するので、とにかくこういう
依頼には早く応えてほしいと願うばかりである
翌週訪問したとき、お気に入りの窓際にベッドが設置されていた
電動のレンタルベッドは、介護保険1割負担だと1000円台/月で借りられる
座布団に横になっているよりはるかに身体は楽な筈だ
この場所が、その方の 最期の大切な時間 をすごす場所として選ばれた

