お別れ
ちょっとした小さな出来事に
『意味』 を見出そうとするのは、ナンセンスなのかもしれない。
けれども、そこに意味を見出そうとするのが人間なんだと思う。
朝から出かけようと思っていた。
けれども何となく出かける気になれず、ふだん滅多にする事の
ない 家の周りの草取りや庭木の枝払いなぞしていた。
すると連絡が入り、親しい知人が危篤状態に入り、
今 ご家族が集まっているという。
ガン末期で約1ヵ月前からホスピスに入院中の方だ。
頭の中で瞬時に 「今日中・・・」 という想いがよぎった。
落ち着かないキモチのまま、そのまま何も考えなくてもできる
草取りなどを続けていた。
すると、サッと頬をかすめて何かが飛んでいった。
少しびっくりしてその行方を目で追うと、それは大きな蝶だった。
鮮やかなオレンジと黒の羽をした美しい蝶。
ヒラヒラと舞って、そして上へ飛んでいくと思ったら、
茶畑の下の方へ隠れて行き、暫く見ていたがもう現れなかった。
空虚なキモチでいた自分の中に
「お別れに来てくれたんだ」 という確信が生まれた。
そして涙が溢れた。
ナンセンスかもしれない。
でもそこに意味を見出すのが人間なんです。
これまでお世話になった人です。
「ありがとうございました」
その1時間後、その方が召天されたとの連絡を受けた。
