がん臭
患者から特有のにおいが出てくる。いわゆる「がん臭」というものだ。
以前 『風のガーデン』 というTVドラマで、在宅緩和ケアの医師
(緒方拳)が、がん患者の所へ「匂いの強い花を届けて下さい」
というセリフがあった。
がんによる病臭は、がん細胞が壊死して細菌感染をおこすために
発生するといわれている。独特なにおいだ。
病棟に胃がん末期の方がいた。
最期は「嘔吐」がつづき、そのうち吐血し始めた。意識がある間は
水を飲みたがる。けれど飲んでも嘔吐が増えるだけなので、本人が
苦しまないためには・・・と思い、氷を小さくして差し上げた。
「もう1個ちょうだい」
「しょうがないな、サービスだよ!」
そんな会話に フッと笑ってくださる瞬間があり、ご本人が満足する
なら、それは必要な看護なんだろう、と看護師同士で話しあっていた。
嘔吐と吐血による生臭いにおい、そして「がん臭」が混ざり合い、
申し訳ないが病室のにおいは日に日にきつくなっていった。
ご本人やご家族もストレスに感じるだろう。
数日経ち、ある看護師が「今日少しいいでしょ?」と聞いてきた。
そういえばあまりきついにおいがしない。
見えない所にコーヒーかすをお茶パックにいれて いくつか隠して
おいたのだ。においを吸着するコーヒーかすや竹炭は有効らしい。
へたに消臭剤など置くよりずっとよいアイデアだ。
10日ほど経ち、その患者さんは天に召された。
病棟からまたたく間に においはなくなった。
ありがとうございました。
患者さまから たくさんのことを教えていただきました。

