手と目で「看る」
病棟の面会時間には、毎日必ず面会にみえるご家族がいる。
毎日同じ人の場合もあれば、ご家族が順番にローテーションを
組んで、入院患者さんの顔を見にくるという場合もある。
「こんにちは~ 今日は妹さんなんですね」
Aさんの場合、4人兄弟が順番にお母さんの面会にきている
Aさんは、脳梗塞で倒れてからもう2年半。
意識はあるものの、言葉はなく、意思疎通ができない。
寝たきりで、自力体動はない。
今日はAさんの長女さんが面会に来ている。
わたしは体温を測るために訪室した。
「Aさん、お熱測りますね」
ほっぺを触る。 あれっ?ちょっと冷たい。
Aさんは目を開いており、表情はいつもと変わらない。
首筋を触る。汗ばんではいない。
Aさんはふだん比較的汗かきだ。
手と足を触る。やっぱりいつもより少し冷たい。
掛け物はタオルケット1枚。
体温を測る。35.7度。
Aさんの平熱はおよそ36.0~36.5度だったと思う。
室温は?梅雨時でジメジメしており、室内は除湿28℃
設定で空調が入っている。Aさんの足元の上に空調の
空気口がある。
「Aさん、少し寒いのかもしれませんね。」
そう思った理由を娘さんに説明する。
今 自分が手と目で 「看た」 内容を、だ。
娘さん「あ~、そうか!私もいつもより少し手が冷たいなと
思ったんです。でも熱があるかないかばっかり気にしてて、
おでこ触っても大丈夫そうだから・・・そうですよね。寒かっ
たんですね。」
「タオルケット1枚では足りないかもしれないですね。 手足
が温かくなるまで、お布団もかけておきましょう。 空調も
しばらく消して、換気だけにしておきます」
「ありがとうございます。そうやって看るんですね。 いつも
近くにいるのに・・・わからなかったです。 やっぱり看護師
さんってスゴイですね」
「いえいえ、それ程でも(笑)でもAさんのように 寒いよ~とか
暑いよ~とか言葉で伝えることをされない方には、こうして
こちらがそれを感じてあげないといけないんですよね。
いっぱいお母さんに触ってあげて下さいね」
「わ~うれしい。私にも出来ますよね。そうやって看るって
こと初めて教えてもらいました。良かったです」
毎日面会に来て、お母さんの病状を心配しているご家族。
医療者は確かにプロだけど、ご家族の細かい気づきは
わたしたちの観察力をも上回る場合もある。
こうして私たちは、 お互い患者さんを間にして学び合っている。
(医療者とご家族)
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