マーゲンチューブと胃ろう
埼玉の急性期病院
から 青梅の療養病院
へ転院、
ナース同乗のご依頼でした 
鼻腔には栄養を注入するための いわゆるマーゲンチューブ
が入っています。
「あ~ぁ 胃ろうを作ってから療養病院に行けばいいのに・・・」
私は医療に携わっている人間として、ごく自然にそのような
感想をもってしまいました。
療養病院の立場からすると、鼻腔からの栄養チューブでは
肺炎をおこしやすく、またチューブを自分で抜いてしまう危険も
あるため、マーゲンチューブはうれしくない。長期の療養には、
胃に直接穴をあけてチューブを通す 『胃ろう』 が望ましいと
されています。あくまでも、管理上の問題です。
「2年前に脳梗塞を起こしたんです。それでリハビリなんかも
やって・・・・そしたらまた半年前に、今度は脳出血だって。
話しかけてもわかってるんだか、わかってないんだか・・ 」
高齢の奥様が横に付添い、トツトツと私に話して下さいます。
これから先 どうなるんだろう、遠くの病院に行ってしまい、
面会も思うように行かれなくなる。さまざまな不安をもって
おられる奥様の心情が伝わってきます。
これから恐らく長期にわたる療養生活を送ることになるで
しょう。劇的に回復する可能性はかなり低い、そういう患者
さまです。そのことをご家族が受け止めていくには、時間が
かかる。話をうかがっている間に、そのことを強く感じました。
そして、ただ単純に胃ろうという一番の近道を考えた自分を
恥じました。一般の感覚を失いかけていたことに気づいたの
です。
医療者側から<患者さまの身体のためにはこうした方がいい>
と思われることは、確かに正しいかも知れません。でも、療養
というのは、患者さまとご家族が一緒になって乗り越えていく
ものです。
身体の変化に 心が追いつくのを待つ。
1つひとつのステップを時間をかけてクリアしていく。
大事なことをまたひとつ教わりました。
