最期の看取り Ⅲ
私がナースになってから、たくさんの方の「最期のとき」に
立ち会わせていただきました。
私の小さなメモには、その方々のお名前を記してあります。
忘れたくないのです。
人は、亡くなるそのときまで、私たちにたくさんの事を
教えてくれます。その大切なメッセージを、無駄にせず、
私はそれを糧にして次の患者さまへ向かいます。
ナースになって初めて看取った患者さま。
鼻腔よりマーゲンチューブ(栄養チューブ)が入っていて、
自分で抜かないようにミトンを両手に装着していました。
それをとても嫌がっており、
「殺してくれ!そんなに ・ 俺を ・ 生かしたいのか~!」
と 叫びながら、ミトンを外そうとしていました。
それが彼の最期の言葉だったかどうかははっきりしませんが、
私の耳にはその叫びが残りました。
彼の望む最期ではなかった、そう思ったのです。
それからは、私が当たった患者さまが 最期のステージに
入ったと判断したら、必ずミトンを外すようにしています。
私たち医療者には最期の希望を決めることは出来ません。
ご本人もしくは、ご家族の意思が最優先です。
ただ、ご家族もときに気持ちが揺れたり、
「こんな筈ではなかった」 と、いったん決めたことが
想像と違ったりすることもあります。
医師や看護師の説明だけでは、どうしても理解しかねる
こともあるかと思います。
もしあなた自身がその家族の立場になったとき、
どうかぜひ悩んでください。
周りのいろいろな人の意見を聞いたり、
本などで勉強しておくのもいいかと思います 
『全くわかりません。お任せします。』 で本当に
いいのでしょうか?
一生の終わりの時を、納得した形で受け容れることは、
とても大切なことだと思うのです。