モノローグやオーディションの演技など相手のいない演技をすると言って
相手を置こうとしないのは間違っている。

相手のいないモノローグ演技の場合。
自分ができる表現だけに集中しすぎて
「会話」をしない場合が多い。
相手の存在を無視してただ練習したままに
表現だけ並べる演技がリアルに見えるはずがない。

たとえ相手がいないとしても
想像を通じて相手を目の前に作らなければならない。

相手のいないセリフ(傍白)なら
「自分自身」または「世の中」を相手に置けばいい。

良い台詞には結局「葛藤」が存在するから
演技するキャラクターと葛藤している
「自我」あるいは「観念」などを相手に設定しよう。

 
ボクサーのシャドウボクシングを考えてみよう。
シャドウボクシングは一人でありながら一人ではない。

ボクサーたちは想像の中の人物を作り出し、その相手と戦う。
ボクシングの練習の中でシャドウボクシングは
初心者が簡単に真似できるトレーニングではない。

モノローグ演技も初心者俳優にとって簡単な演技であるはずがない。
でも、正しい方法で練習をするなら
一人でも相手と会話ができるようになる。

 
まず、本当の相手を前におこう。
相手役を知人に頼んだらいい。

セリフの中に相手の反応が入っているのか?
それなら最初は台詞も入れろ。

漠然とこんなことを言ったんだろう…ではなく
確実に台詞を書いて相手が台詞を言ってくれるように頼むのだ。

そのように最初は一人で話す台詞でも会話形式に変える。

そしてその対話形式に完全に慣れた時、
対話はなく相手だけを置いて練習をする。

この時、さっき相手が言ってくれたセリフ(アクション)
を想像でちゃんと作らなければならない。

最後に相手を置かずに
相手がいる時と同じやり方で一人で練習をする。
漠然と一人でセリフの練習をした時とは違って
相手が見え始めて相手の言葉が聞こえ始めるだろう。

その感覚がなくなったら、また最初から同じ方法で繰り返した方がいい。

もしセリフを言ってくれる相手がいなければ
写真をプリントして壁に貼って練習すればいい。
その写真の中の人が実在の人物だと考えなさい。

できれば、実際の台本の中の相手キャラクターと似てる人を選ぼう。
そして、上記のような方法を繰り返す。

相手に台詞がある場合は録音をすれば良い。

頭の中だけで考えることと
文章で整理し、目で見て耳で聞くのは次元が違う。

これらは強力なイメージで残り
あなたの頭の中に記憶されるだろう。