収まらないどころか広がってしまっている感染症下ではありますが、今年も無事に幻獣神話展Ⅷが開催されました。
今年のメイン作品は、ウボ=サスラ。
C.A.スミスの描いた、地球の根源にして終焉、輪廻の中心、蒸気と粘液、泥濘のなかに存在する不定形、水晶を窓にして垣間見る、といったコンセプトを解釈したり無視したりしつつ造形しました。
粘液、泥濘、不定形といったつかみ所のない形状を球体にしたのは、根源で終焉にして輪廻の中心に位置する存在、それが宇宙空間に存在する巨大な物体であるならば、球であろうという発想でした。どこかの場所にいる何かではなく、ウボ=サスラそのものが場所であり存在であることでしょう。
水晶の窓を通して見えるウボ=サスラ、もしくは銘板といったものですが、ウボ=サスラそのものが決して小さな存在ではないはずですから、実は全体像ではなくきわめて一部を垣間見ているに違いありません。我々はウボ=サスラのごく一部を、蒸気だの粘液だのといった不定形の存在として認識しているのです。ですから、全体像は球でまとめ、その表面を不定型で埋め尽くしました。
不定形の造形は、海綿動物を参考にしました。カラフルな色や植物のような造形から深海の花畑とも称されますが、私には海綿動物こそとりとめもなく成長を広げる、不定型で不気味な生物の象徴だと思えてなりません。もちろん、嫌悪など微塵もなく、愛すべき存在です。
今回仕込んだギミックは、感染症下であることを考慮して触れることなく発動します。人感センサーで音と光りを、音感センサー内装の振動ユニットで動きを演出しました。また、ただ効果音を出してもあまり耳を傾けることもなかろうと、スミスの小説『ウボ=サスラ』から散文詩をひねりだして収録しました。
当初は自分で読んだ音声データを加工するつもりでしたが、あまりの滑舌の悪さが小っ恥ずかしいので、読み上げソフトの『音読さん』を使用しています。
また、昨年の幻獣神話展Ⅶの感染症の影響で足を運べなくて残念だったという多くの声から、なんとか雰囲気だけでも伝えられればと、今年は360度VRギャラリーを開設いたしました。開設にこぎ着けるまでのノウハウ蓄積にご協力いただいた、ACG_Labo様、+ノーション様、スパンアートギャラリー様には改めましてお礼申し上げます。
















