赤木 「少し前に取り沙汰された話で こんな話があったんだが 覚えてるかな?

いわく 「人間」はDNAの乗り物に過ぎないって話だ

生命の主役はDNAで 「人間」はそれにただ操られているに過ぎないって話

なるほど確かに 生命誕生以来というような大きな流れで考えたら

そんな風に考えることも あるいは出来るかもしれねぇ けどよ

まさにこれっぽっち ジャスト「生涯」

その長い長い生命の時間から考えたら 瞬きみてえな

そんな「人間の生涯」ってことでいうなら 話は別だ

そうなりゃまるで逆転する 少なくとも感覚的には

DNAとやらも含めての この体 この命が 俺の乗り物だ

主役はあくまで俺 命は俺を運ぶ者

俺が俺を全うするために命がある! まず自分ありきだ!

だから意識に霞がかかった訳の分からない状態で

ただ命を長らえるなんてことは 愚の骨頂

俺にはその意味がまるで分からない

肝心の俺が消えた命に どんな意味がある?」


天 「違うっ 違う違う 赤木っ そこがまるで違う

消えやしないんだ どうあれ赤木しげるは」


赤木 「繰り返しだそこから先は 確かに俺が丸ごと消えるわけではなく

何かが残るんだろうが いらねぇのさそんな自分は」


天 「赤木っ 狭くないかっ そんな考えは 赤木っ

なぜ決めつけるんだ 無意味だと」


赤木 「持ってこいよ 一杯飲もう ほれ 付き合え 最後の一杯だ・・・

お前の言う通りさ 俺は狭い 俺はただ生きる ただ生きてれば事足りる

というような考え方 つまり人は生きてるだけで価値があるという

その手の感性 御託が嫌いだった ひねくれ者なんだ 元々

結局好き嫌いの話だ 用がなくなりゃ消えりゃあいいっていうのは俺の個性の話

だから仮に間違った考え方でも 今さら別人になれる訳もねぇ

50年以上続けてきた俺の在り方・・・思考だからよ 結局

死ななきゃ治らねぇんだよバカは おいおい そんな顔するな

俺は結構 悪くなかったと思ってるんだぜ 何だかんだ言っても

こうして50年以上生きてこれたわけだし もちろんこの病気になったことは

ツキがない最悪だ・・・最悪だがそれでも何とか俺は俺として死んでいけることとなった

充分さ もう充分 ほら グラスを持て 酌み交わそうじゃないか 最後の酒だ

いいかな? そろそろ ありがとう・・・天・・・ これでサヨナラだ」


$惟神(かんながら)を噛みながら