それから2日目、3日目と周りを気にしないようにして与えられた仕事を頑張った。…そして初出勤日から約5日が経ったある日。
いつものように出勤し、7時30分過ぎに作業場に入って長机の前に立っていると。
(…なんかブラおかしいかも…?)
しばらく立っているとブラの紐がおかしいと気づき、まだあまり人もいなかったため左手で背中を触って確かめていると…!!!!!
(っ…!!)
ふと左を見た先に係長が丁度出勤してきていて、バッチリ目は合い…パンツと背中は丸見えで恥ずかしくなって慌てて手を引っ込めてうつむく。すると係長は事務室へ入って行った。
(やば…見られたし…)
最悪な所を見られたあたしは一気にテンションが下がった。
あたし『タイミング悪いって……』
小声でそう言いながら長机に両手の人差し指を押し当てたりと動揺を隠せずにいたら。ー
係長『おはよう』
(……っ!!?)
すぐ後ろで聞こえた声に反応し、スッと左を見た。
だけど人はいなく…右を見たら係長の顔がすぐそこにあった。その瞬間ハッとなってドキッとした。
あたし『…おはようございますっ……』
見上げて目を見ながらぎこちなく挨拶返しをすると、係長はゆっくりと歩いて行った。
その後ろ姿を見ながらあたしはため息をつく。
(…あぁー……)
係長に挨拶されたことでまた更に恥ずかしさが増して顔が赤くなる。その半面挨拶されて、自分もできたことに嬉しさを感じていた。
(意外といい人…?)
面接日以来 冷たいイメージしかなかったけれど今日で少し印象が変わった気がした。そしてきっとこの瞬間からあたしの恋は始まっていたのかもしれないー
そうして仕事は始まり…朝の出来事は忘れるようにして仕事に集中した。
先輩M『だいぶ慣れた?』
あたし『いえ…やっぱりまだ分からないことだらけです…』
先輩M『わからんときは聞かないとね?』
あたし『はい』
先輩S『誰やったかい?めぐみちゃん?』
あたし『はい?!』
近くにいた先輩と話していると違う先輩に呼ばれ、その人の方へ。
先輩S『これを返してそこに置いて』
あたし『わかりました』
(大変だ…)
今のあたしの仕事下回り。常に立っては動かなければならない。そのため足は筋肉痛になったり原因不明の痛みに襲われたり…。
酷いと腰や肩までに痛みが回る。その痛みに耐えながらあたしは1つ1つの仕事をこなす。
そしてこの日のお昼休み。いつものように三人の先輩たちと一緒にご飯を食べていると。
??『番号なに?』
と女性がスマホを取り出してはアドレス帳を開いた。
あたし『080の〇〇〇〇の〇〇〇〇です』
??『080〇〇〇〇〇〇〇〇ね』
あたし『はい』
??『私が一回電話するから後で登録してね。私は〇須〇〇っていうから』
あたし『〇須さん』
??『うん』
(〇須さんっていうんだ)
そこで初めて名前を知った。
その後、ロッカーにいきカバンの中から携帯を取り出して着信を見ると番号があり…すぐに登録した。
すると〇須さんがロッカーにやって来た。
〇須さん『かかってきてた?』
あたし『はい!登録しましたっ』
そのあとプライベートの話をして語り合うと、一緒に作業場に向かった。
そしてあたしはすぐに作業を始めようとする。けれどリーダーや先輩たちに止められ…言われた言葉を受け入れて先輩たちの方に…。
先輩S『まだ仕事始まってないからしなくていい』
リーダー『今したらめぐみちゃんの仕事なくなるよ』
あたし『えっ…!!』
先輩H『でも働くことはいいこといいこと!』
先輩S『よー動くやん』
リーダー『めぐみちゃんがいるから私は助かる』
先輩M『前からひ〇〇ちゃんがバタバタしてたからね』
あたし『そうなんですか?』
先輩H『若い子が来たからよかった』
(なんかあたし…褒められてる?)
褒められて伸びるタイプのあたしはすごく嬉しくなり…仕事が始まって終わるまでずっと笑顔が絶えなかった。ー
あたし『お疲れ様でしたー』
先輩たち『おつかれ』
仕事を終えロッカーから荷物を取り出して周りにいた先輩たちに挨拶をすると急いで外に出た。
(今日も疲れた…)
自転車置き場に行きながらそんなことを思う。
そしてこの日の仕事は終わった。
それから数日後ーー
今日はメイクをしていこうとメイク道具を手に取る。
(数日行ったからして行ってもいいよね)
あたしはいつもする順序でメイクを始め…10分ほどで終えると寝間着から洋服に着替え、座り込んで時間がくるまで待つ。
(今日も頑張ろう…!)
DVDを観ながら軽く頷き…いつもより気合いが入る。
あたし『よし!いこっ!』
時間になり、テレビとDVDプレーヤーのスイッチを消すと荷物を持って家を出て職場へ向かう。ー
あたし『おはようございます』
更衣室で会った先輩方に挨拶をし、すぐに作業場に向かった。そして仕事が始まるまで既に来ていた先輩たちと語り合う。
先輩S『いつも早いね。早く来たら上の男に仕事させられるから始まるまで食堂にいたらいいよ』
先輩M『そうそう。早くからしたらキツイでしょ?』
あたし『…はい。でもお仕事なんで…』
あたしがそう言うと数人の先輩たちが微笑みながら軽く頷いた。
(仕事だから…やんなきゃなんよね…。それにあたしはまだ新人だから)
“新人”
この言葉は作業中に何回も自分に言い聞かせている。負けそうなとき。工場長に見られているとき。泣いたとき。失敗したとき。
色んな場面で言い聞かせて落ち着きを取り戻そうとしていた。
その繰り返しを今日もしては仕事が終わった。ー
その次からもテキパキと動いて任された仕事をこなした。そして休日を挟んで週の始まりの月曜日。
(朝礼あるわぁ…)
少しだるい気持ちになりながらもいつものようにメイクをしては着替え、音楽を聴いて時間がきたら出勤。
今日は更衣室で誰にも会わなかったためそのまま作業場へ。すると工場長の姿が。
(げっ……)
あたし『おはようございます…』
ちょっと嫌々に挨拶をする。
工場長『おはようございます』
あたし『おはようございますっ』
工場長の挨拶を聞くとその場を離れて来ていた先輩たちに挨拶をした。
先輩H『めぐみちゃん、ちょっとこの箱をあっちに持って行って?』
あたしが作業を始めようとした瞬間、1人の先輩が箱を軽く叩きながら指示してきた。
あたし『あ、はいっ』
朝だからかちょっとフラッとしつつも製品が入った2つの箱が重ねてあるのを押してトラックがある方に運び出す。すると左の方で係長が何やら作業をしている姿が見えた。
(…っ…どうしよ…)
このとき何故だか戸惑いがでた。けれどそのまま進む…。
そしてあたしが製品を運び終わり少し立ち止まっているとき…なんだか視線を感じ、スッと横を見ると係長と目があった。
あたし『…!!』
(もしかしてまた見てた?)
あたしは今日までを順番にたどってゆっくり思い出していく。数日から係長の視線には疑問に思っていたけれど…日に日にそれが気になり始める。
~続く~