蕎麦屋シリーズ:めん公望
東京の旅の最後は、浅草のめん公望で締めたいと思います。
浅草には老舗の蕎麦屋がいくつもあり、それこそグルメ雑誌にも載っているくらいなのですが、日曜定休のところも多く、今回はいけませんでした。ということで、新進の店ながら評判の高い店を選んでみました。
蕎麦は、田舎(全粒や渋皮まで挽いた若干黒みがかった蕎麦)と通常のもりの二種類。かしわ南蛮というつけ蕎麦もあります。通常のもりと、自家製のわらび餅を頼みました。

蕎麦は手打ち(蕎麦打ち教室も店の奥でやっておられます)ですが、仕事が若干粗く蕎麦の太さがあまり揃っていません。蕎麦の太さが揃わないと、ゆでたときに固さのむらになります。それはそれで、一種の味なのですが、私としては求道系の蕎麦には技術を求めたいですね(求道系=一枚1000円前後の味を探求した蕎麦)。これが500円なら文句は言いませんけどね。そば表面のぬめりも残すのがポリシー?らしく、昔ながらの蕎麦です。このような店では、蕎麦湯が本当の意味の蕎麦湯であることが多いです(蕎麦湯:蕎麦を食べた後に出される蕎麦をゆでた汁。出汁を割って飲むことで体が温まり後味がすっきりする)。昨今の求道系の店では蕎麦湯は専用に作るところもあります。この店では明らかにゆで汁でした。出汁は東京の醤油が強いそれ。薬味はネギと大根おろし。
求道系にかぎらず、蕎麦の専門店では海苔は蕎麦にかかっていません。海苔がかかっている蕎麦屋はそれなりの店です。といいながら、私の好きな蕎麦にコロッケ蕎麦というのもあります。思いっきり色物ですが、求道系には求道系の楽しみ方があり、B級グルメにはB級グルメの楽しみ方があると私は思いますので、スタンスのぶれではありません。立ち食い蕎麦(前にも書いた様にほとんどが小麦粉主体ですが)は立ち食い蕎麦の魅力があるのです。押井守の立喰師列伝とかにも魅力を感じますね。
押井守といえば、古くはアニメ「パトレイバーOVA二課の一番長い日」中で伝説の立ち食いシーンがあるのですよ。主人公の篠原遊馬が北海道の冬のさびれた立ち食い蕎麦屋で(TVがついていて客は自分一人)、かけそばを食べながら蕎麦屋の主人に追加の種を頼むシーンがあります。立ち食いのカウンターでのシーン。
「おやじ、コロッケ」「はいよ・・・」もぐもぐ「卵」「はいよ・・・」ぐしゃぐしゃ・・・。立ち食いにおいて後で追加の種物を頼む行為は、あまり行儀のよいことではないのですが、蕎麦屋のオヤジはさしだされた遊馬のどんぶりに種を放り込んでくれます。このあたりが「リアリティ」なんですよね。
その後も非常に面白く、店に入ってきた敵方のボスが、異様に格好良くかけ蕎麦を注文します。「おやじ、かけ」「はいよ・・・」蕎麦に刻みネギを入れようとするオヤジに「おっと、ネギは抜いてくれ」「はいよ・・・」といって出された素のかけそばを、一息に、まるで飲み物のように啜り込みます。あまりの食べっぷりの良さに、おやじが「お客さん東京?」と尋ねると、それに答えずにっこりして「寒いときはこれに限るね」といい、お代をカウンターにのせて「ここ置くよ」といってさっと出て行きます。
種物を追加するいう下品な食べ方をしていた遊馬は「おやじ、勘定」というのですが、オヤジは先ほどの客人の見事な食べ方に当てられたのか、「いらねーよ」というのです。遊馬は「ラッキー」といって出て行きます。もともと客などほとんど来ない吹雪の日で、店を開けていても手持ちぶさただったんでしょう。ここまで描けるというのは、押井守にこだわりがあるからなんですよね。粋とは何か・・・江戸蕎麦に通じるものがあります。
長くなりましたが、B級そばの話はまたいつか・・・ということで。 めん公望にもどりましょう。
めん公望の蕎麦のスタイルは、滋賀で言うと多賀の「そば吉」のスタイルに近いと思いますね。要するに片倉康雄氏を祖とする一茶庵系だということです。ですから、このタイプの蕎麦が好きという人にはビンゴかもしれません。デザートとして注文した手作りわらび餅が非常のおいしかったので、特記しておきます。手間をかけてもおいしいモノができるとは限りませんが、手作りには手作りの良さがあるということです。総合評価はA-としておきましょう。
浅草には老舗の蕎麦屋がいくつもあり、それこそグルメ雑誌にも載っているくらいなのですが、日曜定休のところも多く、今回はいけませんでした。ということで、新進の店ながら評判の高い店を選んでみました。
蕎麦は、田舎(全粒や渋皮まで挽いた若干黒みがかった蕎麦)と通常のもりの二種類。かしわ南蛮というつけ蕎麦もあります。通常のもりと、自家製のわらび餅を頼みました。

蕎麦は手打ち(蕎麦打ち教室も店の奥でやっておられます)ですが、仕事が若干粗く蕎麦の太さがあまり揃っていません。蕎麦の太さが揃わないと、ゆでたときに固さのむらになります。それはそれで、一種の味なのですが、私としては求道系の蕎麦には技術を求めたいですね(求道系=一枚1000円前後の味を探求した蕎麦)。これが500円なら文句は言いませんけどね。そば表面のぬめりも残すのがポリシー?らしく、昔ながらの蕎麦です。このような店では、蕎麦湯が本当の意味の蕎麦湯であることが多いです(蕎麦湯:蕎麦を食べた後に出される蕎麦をゆでた汁。出汁を割って飲むことで体が温まり後味がすっきりする)。昨今の求道系の店では蕎麦湯は専用に作るところもあります。この店では明らかにゆで汁でした。出汁は東京の醤油が強いそれ。薬味はネギと大根おろし。
求道系にかぎらず、蕎麦の専門店では海苔は蕎麦にかかっていません。海苔がかかっている蕎麦屋はそれなりの店です。といいながら、私の好きな蕎麦にコロッケ蕎麦というのもあります。思いっきり色物ですが、求道系には求道系の楽しみ方があり、B級グルメにはB級グルメの楽しみ方があると私は思いますので、スタンスのぶれではありません。立ち食い蕎麦(前にも書いた様にほとんどが小麦粉主体ですが)は立ち食い蕎麦の魅力があるのです。押井守の立喰師列伝とかにも魅力を感じますね。
押井守といえば、古くはアニメ「パトレイバーOVA二課の一番長い日」中で伝説の立ち食いシーンがあるのですよ。主人公の篠原遊馬が北海道の冬のさびれた立ち食い蕎麦屋で(TVがついていて客は自分一人)、かけそばを食べながら蕎麦屋の主人に追加の種を頼むシーンがあります。立ち食いのカウンターでのシーン。
「おやじ、コロッケ」「はいよ・・・」もぐもぐ「卵」「はいよ・・・」ぐしゃぐしゃ・・・。立ち食いにおいて後で追加の種物を頼む行為は、あまり行儀のよいことではないのですが、蕎麦屋のオヤジはさしだされた遊馬のどんぶりに種を放り込んでくれます。このあたりが「リアリティ」なんですよね。
その後も非常に面白く、店に入ってきた敵方のボスが、異様に格好良くかけ蕎麦を注文します。「おやじ、かけ」「はいよ・・・」蕎麦に刻みネギを入れようとするオヤジに「おっと、ネギは抜いてくれ」「はいよ・・・」といって出された素のかけそばを、一息に、まるで飲み物のように啜り込みます。あまりの食べっぷりの良さに、おやじが「お客さん東京?」と尋ねると、それに答えずにっこりして「寒いときはこれに限るね」といい、お代をカウンターにのせて「ここ置くよ」といってさっと出て行きます。
種物を追加するいう下品な食べ方をしていた遊馬は「おやじ、勘定」というのですが、オヤジは先ほどの客人の見事な食べ方に当てられたのか、「いらねーよ」というのです。遊馬は「ラッキー」といって出て行きます。もともと客などほとんど来ない吹雪の日で、店を開けていても手持ちぶさただったんでしょう。ここまで描けるというのは、押井守にこだわりがあるからなんですよね。粋とは何か・・・江戸蕎麦に通じるものがあります。
長くなりましたが、B級そばの話はまたいつか・・・ということで。 めん公望にもどりましょう。
めん公望の蕎麦のスタイルは、滋賀で言うと多賀の「そば吉」のスタイルに近いと思いますね。要するに片倉康雄氏を祖とする一茶庵系だということです。ですから、このタイプの蕎麦が好きという人にはビンゴかもしれません。デザートとして注文した手作りわらび餅が非常のおいしかったので、特記しておきます。手間をかけてもおいしいモノができるとは限りませんが、手作りには手作りの良さがあるということです。総合評価はA-としておきましょう。