マリンバの音板選定
マリンバといえば、最近の大型吹奏楽曲ではよく使われるアフリカ由来の大型木琴です。
打楽器アンサンブルでもよく使われますし、特殊楽器ではなくなってきました。
とはいえ、5オクターブの音板をもつものは定価で100万円は軽く超えてきますので、そうそう買ってもらえるものではありません。この前の3月、縁あってマリンバを購入することができる運びとなり、どうせなら音板選定からやってみよう・・・ということで、国産マリンバ製造の雄、福井県鯖江のこおろぎ社まで、打楽器専門の講師の方といっしょに行ってきました。
こおろぎ社:http://www.korogi.co.jp/
↑はじめに、お茶をいただきながら、AAAの板、AAの板、Aの板、廃棄される板どのように違うのか実物が並べられました。
ヒントなしに叩いて感じたままに選んでみてといわれ・・・おそるおそる叩いてみると・・・廃棄される板はすぐわかりました。
ともかく全然響きません。しかし、見かけはどれも綺麗で叩いてみないとわからないです。AAAの板は響きが長く、
AAとAはそれほど差はない感じです。ということで、福井まで来て、まずは合格をもらえたかな?
続いて工場見学。高級音板に使うローズウッドの木は中米グアテマラのメキシコ国境近くでとれたもの。
ローズウッドは群生しないで雨の少ないサバンナにポツポツ生えている木らしいです。
成長が遅く、そのため非常に堅くよく響くのです。世界中のローズウッドを取り尽くすまでカウントダウン状態で
そのためにも楽器は丁寧に扱って欲しいと製造した方直々の愛のこもった説明を受けました。
吹奏楽では特にシロホンを堅いばちで叩きすぎる傾向があります。これは大事にしなければ・・・。
輸入されたローズウッドは倉庫の中でゆっくりと何年も乾燥させられます。
機械で削って音板を作っていきます。
音板の形に加工されたもの。
まずは大まかに機械でチューニングをします。機械がポンとバチで叩くところ。
あと何mm削ればよいか、自動測定され、ある程度自動で削られます。
そしてダメな音板どんどんはねられていきます。「ダメな音板は持って帰って
いいよ」といわれましたが、学校のシロホンで欠けていた音盤の音をチェック
していくのを忘れ・・・しまった!!状態でした。ダメ音版でも、共鳴管をつ
ければ結構響くんです。
何度も乾燥を繰り返し、最終調整は人間が倍音を見ながら削っていきます。
右側にあるのが、倍音をみる特殊なチューナーです。
天井まで届く多量のアルミのパイプ。これが何に使われるかというと・・・
はい、ここまでくるとわかりますね。共鳴管です。
この後、塗装してシックな感じにしてゆきます。
音版選定作業中。特に低い音の大きな音板は丁寧に選びました。
といっても、もはやこれは個性の差ですね。
豊かな音というのは悪い言い方でいうと芯のない音といえますし、
倍音の少ない音というのは、よく言えば透明感のある澄んだ音ともいえます。
こうして私たちの選んだ音板は2週間後にはマリンバとして組み立てられ、
学校に納入されました。
この夏のコンクールでも使いましたし、打楽器アンサンブルでも使う予定です。
マリンバの心地よい木の音というのは本当によいものです。心が和みますね。